|
2005/05/16(月)
高額納税者、1位はサラリーマン
|
|
|
国税庁は16日、2004年分の確定申告で所得税額が1000万円を超えた高額納税者を全国の税務署で一斉に公示した。
公示対象者が4年ぶりに増加に転じ、上位の納税額が大型化するなど、景気回復傾向が反映されたとみられる。上位100人では、オーナー企業の経営者らが顔をそろえる一方、業績に応じて巨額の成功報酬を得た金融マン6人も入り、投資顧問会社「タワー投資顧問」の清原達郎運用部長(46)がサラリーマンとして初の番付トップになった。納税額は歴代12位の約37億円で、約100億円の報酬を受け取った計算になる。
トップの清原部長は02年分の番付で納税額約4億円で31位に初登場、03年分で約8億円で8位になった。
1981年に東大を卒業後、野村証券に入社。その後、ゴールドマン・サックス証券など複数の外資系金融機関で投資部門の責任者などを務め、98年、タワー投資顧問(東京都港区)に移った。
タワー投資顧問は、大手金融機関や外資系金融機関の系列に属さない「独立系」の投資顧問会社。90年設立で、役員と社員は計15人だけだが、運用する資産の総額は約2600億円に上り、国内に二十数社ある独立系投資顧問会社の中では最大規模という。
同社は、大企業から企業年金を募り、その資金を元手に、国内企業の株式などに投資して運用。年間約3000社を直接訪問して財務内容などを分析し、本来の企業価値と比べ割安な銘柄を見いだす手法が特徴という。
清原部長らが運用しているのは、「タワーK1J」というファンド。株安と低金利のなか、99年の運用開始から毎年15―35%の運用実績を上げ、03年度には102%もの驚異的な利回りを達成した。今年3月までの6年間で、元本が6・4倍にも膨れ上がった計算になるという。同社は、「能力があり、大きな実績を収めた社員に高い報酬を支払う方針」。同社の今年3月期の営業収益は、前年の約3倍の150億円近くに上るが、清原部長がその3分の2を成功報酬として受け取った計算になる。
◆「土地長者」は最少◆
確定申告した納税者は744万1000人で、前年より50万8000人(7・3%)増え、公示対象となった高額納税者も7万5640人で前年比2・3%増と、4年ぶりに増加。所得税額が10億円を超えたのは6人で前年の3倍となり、1億円以上も869人で125人増えた。
読売新聞社などの調べによると、上位100人のうち、土地を売却した「土地長者」は5人で前年より2人減り、過去最少を更新。バブル期の91年の86人と比べ、17分の1に減った。
株を売却した「株長者」は前年より4人多い33人で、半数以上の17人が、非公開の株式の売却で得た所得だった。上場などに伴う創業者利益は2人だけで、企業の合併・買収(M&A)の増加を背景に、M&Aに伴う株などの売却で7人がランクインした。
一方、事業や給与、株式配当などの本業で所得を得たのは54人で、4年連続で半数を超えた。業種別では、美容・健康関連の会社から17人が番付入りした。
番付に入った6人の金融マンのうち、清原部長を除く5人は、ライブドアによるニッポン放送株の買収資金調達に絡んで話題になったリーマン・ブラザーズ証券など、すべて外資系の金融機関の役員、社員だった。
◆高額納税者の公示=所得税法に基づき、1000万円超の所得税額を申告した人の氏名と住所、税額を税務署が公表する制度。「高額納税者の国への貢献を明らかにすることと第三者による納税状況の監視」が目的だが、個人情報保護の観点から疑問の声もある。
政府税制調査会が02、03年、「廃止も含め検討する必要がある」と答申し、財務省が見直しを検討している。06年度税制改正に盛り込まれれば、来年から廃止される可能性もある。
|
|
|