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2005/04/08(金)
プロ野球、開幕低迷 巨人戦視聴率1ケタ 観客セパとも減少
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「交流戦」「楽天」改革の芽に期待 「改革元年」をうたったプロ野球に衝撃の数字が突きつけられた。7日の「横浜−巨人」戦の視聴率8.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。巨人戦のテレビ中継が開幕6試合目で2ケタを割ったのは過去に例がない。実数を発表している観客数も伸びず横浜−巨人戦はわずか1万2578人。人気回復の道は険しいが、一方で「地域密着」を旗印に新球団・楽天は東北を中心に高視聴率を稼ぐなど“光明”もみえる。止まらない「巨人戦離れ」は、「巨人戦頼み」の球界に対する警告とも読めそうだ。(丸山和郎) 昨年、巨人戦の年間平均視聴率は過去最低の12・2%を記録。危機感を抱いた巨人は、今季から東京ドームにグラウンドにせり出した新内野席を設置、試合前に選手とファンの「ふれあいタイム」を設けるなど、サービス拡充に乗り出した。 それでも一日の「巨人−広島」戦の視聴率は13・5%で開幕戦としては過去最低。チームも四十七年ぶりの開幕四連敗とふるわず、七日の試合は中盤で大差がついたこともあり視聴者にソッポを向かれたようだ。ちなみに同様に出足でつまずいた昨年、視聴率が初めて一ケタ台に落ち込んだのは五月二十五日だった。 中継したTBS宣伝部では「番組改編期で裏番組も強かったのが大きな理由だが、昨年秋からの球界再編のゴタゴタを、まだファンが引きずっている面もあるのではないか」と分析する。 視聴率だけではない。今季から各球団が足並みをそろえ観客を実数で発表しているが、五万五千人の「満員」が続いていた東京ドームの巨人戦が四万三千六百八十四人など、セ・リーグは開幕三試合で十一万三千六百十一人と昨年より約一万人減。パ・リーグ開幕戦は五万人以上も減り西武はすでに一万人を割った。 野球人気の回復は難しいのか。慶応大の樋口美雄教授(計量経済学)は「全国区で巨人に頼る体質がすでにマンネリ化している。スポーツエンターテインメントには日常の中の非日常が求められているが、今のプロ野球にはそれがない」と指摘する。にもかかわらず全国放送の地上波は、今季も巨人戦が大半を占める。開幕一週間の数字はこの分析を証明している。 一方で樋口教授は「プロ野球にもローカリゼーション、つまり“おらが町”を応援しようというムードが必要」と話す。 昨年から日本ハムが本拠地を北海道に移し、今季は「東北楽天ゴールデンイーグルス」が誕生。楽天の本拠地「フルキャストスタジアム宮城」での開幕戦となった西武戦(一日)は、地元の東北放送(TBS系)が生中継し、24・2%の高視聴率をマーク。一筋の光明にみえる。 先日、地元密着では先輩のサッカーJリーグにプロ野球が教えを請うた。プロ野球界も、人気回復に、あらゆる手を模索している。 球界では今年十一月、日本、韓国、中国、台湾のチャンピオンチームによる「アジアシリーズ2005」が初めて開催される。サッカーW杯アジア地区最終予選「日本−バーレーン」戦は視聴率40・5%。どこまで注目を集めるかは未知数だが、人気回復に向けた一歩になるだろう。 また、今季五月から導入される交流試合で、これまでテレビで見ることの少なかったパ・リーグの球団に接する機会も増える。民放関係者は「改革の芽が出てくるまでには、まだ時間がかかる。そのためには、まず終盤まで白熱したペナントレースを展開し、アジアカップにつなげてほしい」と期待を寄せている。
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