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2005/04/30(土)
尼崎脱線事故 15時間後救出の女性死亡 死者107人に
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尼崎脱線事故で、発生から約15時間後に救出された兵庫県西宮市の大下裕子さん(46)が30日、入院先の病院で死亡した。死者は107人(男性59人、女性48人)になり、国内の鉄道事故では、1962年の常磐線三河島駅の脱線衝突(160人)に続いて戦後4番目。負傷者は460人。また、県警尼崎東署捜査本部は同日、死亡した高見隆二郎運転士(23)の遺体を司法解剖した。死因は圧死で、体内からはアルコールや薬物は検出されなかった。 大下さんはマンション1階に突っ込んだ先頭車両に閉じこめられ、発生翌日の先月26日午前0時5分、救助隊員らに救出され、兵庫医大救命救急センターに入院。同センターによると、クラッシュ症候群による多臓器不全で死亡した。 クラッシュ症候群は外傷がない場合でも、体の一部が何かに長時間はさまれたり、圧迫されるなどして起こる。
◇クラッシュ症候群を発症した大下さん
107人目の犠牲者となったのは、いびつにゆがんだ先頭車両から約15時間ぶりに助け出された大下裕子さん(46)だった。医師らの懸命な治療も及ばなかった。兵庫県西宮市の自宅周辺では、悲報を知った近所人たちが一様に落胆の表情を見せ、悲しみに包まれた。 大下さんは26日午前0時過ぎ、マンション1階の立体駐車場に突っ込みんだ先頭車両から助け出された。だが、長時間、体をはさまれていたことで流れていなかった血液が、救助されて急激に流れたことでクラッシュ症候群を発症した。 入院先の兵庫医大病院救命救急センターは、スタッフ総出で4日間、治療を続けたが、回復はかなわなかった。同センターの丸川征四郎部長は「非常に残念。阪神大震災で治療したクラッシュ症候群の患者とは比較にならないくらい症状が重かった。ご冥福を祈りたい」と話した。 一方、近所によると、大下さん方は、パイロットの夫と、高校、中学に通う子ども2人の4人家族。「意識があると聞き、助かると思っていたのに……」。近くの女性はそう言って泣き崩れた。別の主婦も目に涙を浮かべ、「家族みんなが幸せそうでした。どうして、こんなことになるのでしょう」と話した。 同級生の子どもがいる主婦は「お子さんは出会ったら『おばちゃん』と声をかけてくれた。あまりにもかわいそうです」と声を詰まらせた。
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