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2005/03/03(木)
西武株虚偽記載 堤コクド前会長を逮捕
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西武鉄道株のグループ企業による虚偽記載問題で、東京地検特捜部は3日、中核企業コクドの前会長、堤義明容疑者(70)を証券取引法違反(虚偽記載、インサイダー取引)容疑で逮捕した。併せて証券取引等監視委員会と合同で、東京都渋谷区のコクド本店など関係先の家宅捜索を一斉に始めた。東京証券取引所で異例の上場廃止に至った虚偽記載問題は、グループトップが逮捕される刑事事件に発展した。 堤前会長は容疑を大筋で認めたうえで、虚偽記載については「以前から知っていた」と話しているとされる。また、問題発覚前に株を売却したインサイダー取引について「部下から言われ、売却も私が決めた」と供述しているという。 調べによると、堤前会長は西武鉄道の小柳皓正社長(当時、自殺)らと共謀し、04年6月29日、コクドの持つ西武鉄道株が2億8093万1000株で、発行済み総数に対する所有割合が64.83%であるのに、個人名義と偽装して保有していた株を隠ぺいし、株式数を1億8701万4000株、所有割合を43.16%と虚偽を記載した西武鉄道の有価証券報告書を提出した疑い。 また04年5月25日、コクド元専務から西武鉄道の有価証券報告書に継続的に虚偽の記載をしていた事実について報告を受けた。これを公表する前に個人名義株を売却しようとコクド幹部らと共謀、04年9月9〜28日、10社に計約1800万株を計約216億円で売りつけた疑い。特捜部は、虚偽記載などの重要事実を相手先に伝えないまま公表前に株を売却したことが、インサイダー取引に当たると判断した。 堤前会長はグループ創始者の故・堤康次郎氏の三男で、1957年にコクドの前身の国土計画に入社、康次郎氏の死去翌年の65年に社長就任。西武鉄道の会長などを兼任し、全日本スキー連盟会長やJOC(日本オリンピック委員会)初代会長も歴任した。昨年4月、総会屋への利益供与事件で西武鉄道会長を辞任し、同10月に虚偽記載を公表してコクドとグループ会社の全役職を辞任した。
■ことば
◆有価証券報告書の虚偽記載 上場企業などは事業年度ごとに損益計算書や貸借対照表などの経理状況や事業内容に関する重要な事項を記載した有価証券報告書を国に提出する必要がある。投資家や株主が投資判断するための必要なデータで、証券取引法で定められている。虚偽の記載のある報告書を提出した場合、個人は5年以下の懲役または500万円以下の罰金。法人に対する両罰規定もあり、5億円以下の罰金。
◆インサイダー取引 投資判断に影響を及ぼすような未公開の「重要事実」を知る会社役員などが、情報を知らない相手と株式などの売買を行うこと。証券取引所を通さない相対取引の場合、一般的にはインサイダー取引には当たらないが、相手が重要事実を知らなければ該当する。証券市場の公正性・健全性が損なわれる恐れがあるとして証券取引法で規制され、違反した場合は3年以下の懲役または300万円以下の罰金。
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