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2005/12/04(日)
台湾統一地方選 野党・国民党が大勝 14ポスト確保、政権奪回視野に
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二〇〇八年の次期総統選の前哨戦とされた台湾統一地方選挙の投開票が三日行われ、非改選の台北と高雄の両直轄市を除く二十三県市の首長選のうち、十四県市で最大野党の国民党の候補者が当選し、大勝した。選挙前に汚職事件が発覚した与党の民進党は蘇貞昌主席が辞意を表明。国民党の政権奪回が視野に入ってきた。焦点となる対中政策で、陳水扁政権に大幅な路線変更を迫ることになりそうだ。 同日夜に記者会見した国民党の馬英九主席(台北市長)は、「選挙結果は民進党政権に対する台湾住民の不信任票だ」と述べ、勝利宣言した。 民進党は、これまで県長(知事)ポストを十六年間維持した台北県、二十四年間守った宜蘭県を含め、五県市の首長ポストを国民党に奪われ、敗北した。 民進党候補が当選したのは陳総統の出身地の台南県や台南市、高雄県など六県市(高雄市を加えて七)。野党側は国民党のほか、親民党と新党が離島県で得た各一ポストを含めて十六県市(台北市を加えて十七)となった。 高雄市の地下鉄工事に絡む陳政権の元総統府副秘書長(副官房長官)の汚職事件が、クリーンなイメージで支持者を集めてきた民進党に大打撃を与える結果になった。 蘇主席は同日夜、「選挙結果は民進党への警告。改革して再出発する」と敗北宣言し、引責辞任することを明らかにした。 対中関係の改善を訴えて圧勝した国民党は「中台協調で信任を得た」と判断し、民進党の陳政権が慎重に対応している空と海の中台直行便の解禁など、経済界が強く求めている対中政策の変更を強く迫るのは確実だ。中国との「国共合作」も一層強めることになる。 立法院(国会)でも少数与党の陳政権は二〇〇〇年の発足以来、最大の危機を迎えており、「陳総統はレームダック化した」(国民党幹部)との見方すら出始めた。 ◇ 【用語解説】民進党と国民党 台湾意識の高揚を背景に2000年の総統選で陳水扁氏が勝利、民進党は半世紀余り一党支配を続けた国民党から政権を奪取した。党綱領に「台湾独立」を掲げるが、立法院(国会)で少数与党のため「新憲法」制定など“台湾化”は遅れ気味。一方、最大野党の国民党は、党綱領に「台湾独立反対」を盛り込み、中国共産党との関係改善をテコに陳政権の包囲網を狭める。馬英九主席の人気もバネにして08年の総統選での政権奪回を狙っている。
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