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2005/11/20(日)
高橋尚子、復活のV…東京国際女子マラソン
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陸上・東京国際女子マラソン(20日・国立競技場発着)――高橋尚子(ファイテン)が大会歴代3位となる2時間24分39秒の好タイムをマーク、2年ぶりのマラソン復帰戦を優勝で飾った。
36秒差の2位にジビレ・バルシュナイテ(リトアニア)が入り、2年前の大会で高橋に逆転勝ちしたエルフィネッシュ・アレム(エチオピア)は3位だった。
レースは終盤、高橋とバルシュナイテ、アレムが先頭集団を作って競り合ったが、高橋が35・7キロでスパート、そのまま差を広げてゴールした。(スタート時=晴れ、気温10・5度、湿度50%、南南東の風1・5メートル)
◆「あの坂に負けたくない」◆
切れ味鋭いスパートだった。高橋は上り坂に差しかかる直前の35・7キロで勝負に出た。2年前、アレムに抜かれた因縁の坂だ。「あの坂に負けたくないという思いがあった。自分自身の思い出との戦いだった」。抜かれた39キロ付近で後ろを振り返った。「このまま逃げさせてほしい」。そう願っていた。
小出義雄監督のもとを離れ、練習パートナーらと結成した「チームQ」で挑む初レース。「前は監督に言われた通りにやるだけだったが、今は全く未知の世界」。練習内容は最終的に自分で決断したが、迷いの連続だった。「過去5年分の練習日誌を見たけれど、当てはまる所はなかった」。
2年ぶりのレースで勝ったのは大きな前進だが、最も価値があるのは指導者につかない状況で鮮やかな復活を遂げたことだ。「女子選手は自分がどうやって強くなったのかを振り返れないことが多い」と言う指導者もいる。指導者への依存度が高いためだが、高橋はその壁も突き破った。しかも、ふくらはぎなど右足の3か所の筋膜に炎症を起こした状態で、だ。
「前半は右足で地面を強くけっていなかった。それが出たのはスパートしてから」と、日本陸連の金哲彦・女子長距離・マラソン部長。上り坂の35〜40キロの5キロは17分9秒の快ペース。「何とか足がもってほしい」。チームを引っ張る責任感を胸に、自らの力を信じて走った。
「悪いことはたくさんあった。オセロゲームのように黒をすべて白に変えたい」。高橋はそう言った。(大野展誠)
◆高橋に脱帽のアレム◆
3位に終わったアレムは「風が強くて前に進まなかったため、こういう展開になってしまった」。2年前のこの大会では、終盤失速した高橋を抜いて優勝を飾ったが、この日は中盤以降、向かい風に悩まされ、35・7キロでライバルに突き放された。
「高橋さんは2年前とは違って、すばらしい走りだった。優勝を祝福したい」と脱帽した。
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