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2005/11/18(金)
尚子完全復活に暗雲、右脚3カ所肉離れ
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高橋尚子(33=ファイテン)の完全復活に、暗雲が漂った。明日20日の東京国際女子マラソン(国立競技場発着)を前に18日、都内ホテルで記者会見が行われた。高橋は、帰国翌日の11日の練習で、ヒラメ筋など右脚3カ所に軽度の肉離れを起こしていたことを明かした。ドクターストップもかかったが「止まった時間をもう1度、動かすため」と、強い意志でレース出場を断言。選手生命を脅かすリスクも背負いながら、2年ぶりのフルマラソンに挑む。 高橋が突然、切り出した。ほかの招待選手の後、単独で会見した時だ。「皆さんに伝えなければならないことがあります」。ショッキングな報告だった。 合宿先の米国から帰国した翌11日のこと。午前の練習中、高橋は右ふくらはぎにむくみを感じた。長時間のフライト後のむくみ−。初めはそう思っていた。だが15日に千葉・順大病院で受けたMRI(磁気共鳴画像装置)検査で、軽い肉離れ(筋膜炎)と判明。患部をかばったことで、右太もも裏、ふくらはぎの外側部分も同じ症状と分かった。 念願の復帰レースを目前に、原因も特定できない思わぬアクシデント。女子柔道・谷亮子の主治医でもある桜庭景植医師には、無理をすれば目標の08年北京五輪にも影響する、と勧告された。選手生命の危機をも意味する宣告−。だが高橋は再起に懸ける気持ちを押し通した。「北京への第1歩として新たなスタート地点に立ちたい」。その熱意に負けた同医師から「痛みが増したら途中棄権する」ことを条件に、出場のGOサインをもらった。 会見では「痛みは我慢できる範囲」と説明し終始、笑顔を絶やさなかった。恩師の小出義雄氏から独立したマラソン人生の再出発。レース前にあえて負傷の事実を明かしたのも、重圧にもなる隠し事はしたくなかったからだ。心の支えにもなっているチームQのメンバーの話になると、感謝の気持ちで目を潤ませた。 幸い、軽めの練習はできている。この日は会見後に約1時間、皇居周辺で軽いジョギングをした。「出るからには優勝」と話しつつ「タイムは未知の世界」と自身でも予想はつかない。不安はある。だが大きなリスクを背負っても、東京で止まった時間は、東京でしか動かせない。高橋はいつものQちゃんスマイルで、再起のスタートラインに立つ。
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