|
2005/10/26(水)
ロッテ 4連勝で31年ぶり日本一
|
|
|
一気に頂点に上り詰めた。ロッテは26日の日本シリーズ第4戦で阪神を3―2で破り、史上7度目の4連勝で74年以来、31年ぶりの日本一を達成した。李スンヨプ内野手(29)が全3打点を挙げ、継投で逃げ切り。ボビー・バレンタイン監督(55)は外国人初の日本一指揮官になった。同監督の手腕と熱いファンの後押しで日本一に輝いた新生マリーンズ。彼らこそが今年のプロ野球の「顔」だった。
甲子園が背番号2を優しく包んだ。左翼席のマリーンズファンだけではない。阪神ファンからも拍手が起こった。バレンタイン監督は3度、高く舞った。
12球団の監督で1人だけに許されるインタビュー。日本語で叫んだ。「千葉ロッテハ、イチバンスバラシイデスネ!」。そして続けた。「最高に幸せだ。まるで1時間ぐらい宙を浮いていたようだった。この最良の日をこれからの人生でも毎日かみしめていきたい」。最後はファンへの感謝の言葉だった。「マリーンズファンの皆さん、あなたたちがベストです」
4試合で1度も阪神にリードを許さない完全勝利。3試合連続2ケタ得点を挙げて迎えた第4戦は胃の痛むような競り合いだった。そんな展開だったからこそ、ロッテの強さが際立った。初回1死一、二塁で金本を左飛に打ち取る。絶好の先制機に4番が凡退した阪神は、最後までロッテに追いつくことができなかった。4併殺を喫した阪神と得点すべき時に得点したロッテ。金本はシリーズ4試合でわずか1安打、今岡は2安打だ。阪神の得点源を完ぺきに封じ込めた。指揮官は膨大なデータを「ボビー・マジック」というひらめきに変え、史上7度目の無敗優勝につなげた。
チームには「統計アナリスト」のポール・プポ氏(58)が常に帯同する。同氏がプレーオフ期間中から阪神の公式戦146試合を計100時間以上もかけてテレビモニターで分析し、阪神を丸裸にした。そのデータを生かした。
一方でグラウンドでは選手を優しく見守る。積極的なミスで怒ることはない。プレーオフ第2ステージでは重圧と闘う選手に「エンジョイ・ベースボール」を呪文(じゅもん)のように唱えた。シーズン中にも連敗が続くと遠征先では誰よりも真っ先にバスを降りて、ナインのお尻にタッチして出迎えたこともある。
「チームは家族」というのが方針だ。今季はサブロー、小林宏、李、黒木、今江らに子供が誕生した。そんな時は必ずナインを集めて「われわれのファミリーがまた1人増えた」と叫んで喜びを分かち合った。多忙な時間の合間を縫って自らデパートに足を運んだ。そして子供の名前が刺しゅうされたアルバムを手渡した。
交流戦を制し、パ・リーグを制し、日本シリーズを制して3冠になった。だが登るべき頂はまだ残っている。11月10日から始まるアジアシリーズ。そして大リーグのワールドシリーズ優勝チームとの真の世界一決定戦だ。「日本のプロ野球はメジャーリーグと同じレベルに達している。日米で真の世界一を決めるべきだ」。バレンタイン監督にとって、それは夢ではない。まず目指すは4冠。そして世界へ。マリーンズとバレンタイン監督の戦いが終わったわけではない。
≪25分間 歓喜の祝勝会≫日本一祝勝会がロッテ宿舎の新神戸オリエンタルホテル10階のテラスで行われた。会場には瓶を落としても割れないように人工芝が敷かれ、指揮官の名前と同じ銘柄のシャンパン「バレンタイン」がリーグ優勝時と同じ260本、ビールは900本多い4000本が用意された。選手会長・小林雅の音頭で午後11時50分にスタートすると清水の一本締めまで宴は25分間。バレンタイン監督は「史上最高の試合をしたのでわれわれにはパーティーをやる権利がある」とラッパ飲みしながら歓喜に酔っていた。
|
|
|
|