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2005/10/17(月)
ロッテ31年ぶりV!ボビー歓喜の舞い
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31年ぶりの歓喜をボビーが運んできた。パ・リーグのプレーオフ第2ステージ第5戦が17日行われ、ボビー・バレンタイン監督(55)率いるロッテが8回、里崎智也捕手(29)の逆転二塁打でソフトバンクを3―2で下し、3勝2敗で74年以来のリーグ優勝を果たした。バレンタイン監督の指揮の下、勇敢に戦ったナインと「26番目の選手」と呼ばれる日本一のファンが成し遂げた31年ぶりの快挙。12球団で最も優勝から遠ざかっていたチームは日本一を目指し、22日からの日本シリーズで阪神と対戦する。
マウンド付近に膨れあがった輪に、背番号2が飛び込んだ。84キロの体が3度宙に舞う。ゆっくり、そして最後は半回転した。31年ぶりの優勝らしくぎごちない歓喜の儀式。「ミナサン、アリガトウ。ウイニングボールは宝物となったし、宙に舞った感触は一生忘れられない」。目は潤んでいた。
2連勝から第3戦はまさかのサヨナラ負けを味わった。そして連敗。その惨劇を招いた小林雅を1点差の9回にマウンドへ送った。「(第3戦は)心が痛む一戦だった。中でも一番つらかったのは小林雅でしょう。きょうはいい仕事をしてくれた」。揺るぎない信念に抑えの切り札が応えた。
試合前ミーティングでの最後の15秒間に目を閉じさせた。2月の春季キャンプ。指揮官は唐突にヘッドホン約100個をコーチ、選手に配った。「何が聞こえるか教えてほしい」。選手は何も聞こえないヘッドホンを耳に当て自分との対話を始めた。数日すると「優勝するシーンが目に浮かんだ」と言ってきた。奇異に思える試みが「負け犬根性」を忘れさせた。
その集大成ともいえるのが8回の逆転劇だった。「リードされて嫌な雰囲気になりかけたところで初芝がガッツを見せて出塁したし、里崎も1年間を通していいところで打ってくれた。全員のガッツが前面に出た」。代打に今季限りで引退する初芝を起用。ベテランが執念の三塁内野安打で無死一塁とし、さらにチャンスを広げ、仕上げは里崎が逆転の左中間二塁打だ。強気で臨機応変なタクト。捕手の辻以外、野手を総動員した総力戦と、全5試合が逆転勝ちで決着という壮絶な第2ステージ制覇につながった。
今季、127通りに及んだ日替わりオーダーは“ボビーマジック”と呼ばれた。「マジックはなかった。素晴らしい選手たちが死力を尽くしてくれた。夢に向かって突き進んで結果としてチャンピオンシップを勝ち取った」。その指揮官を支えたのは「26番目の戦士」だ。最初に指揮した95年、当時の広岡達朗GMとの確執でわずか1年で解任。それでも弱小球団を2位へ押し上げた手腕に1万4000人のファンが残留署名運動を行った。それから約8年後の03年11月1日、監督就任交渉のため来日した際、成田空港ロビーで約200人のファンを見た瞬間、2度目の挑戦は決まった。
74年に日本一を達成後、チームは人気、実力とも低迷した。78年に本拠を川崎球場に移したが、深刻な観客動員減に悩まされた。当時はドラフトで大物選手を指名しても入団を拒否された。しかし、92年に千葉マリンに移転してから風向きが変わった。無名ながら素質ある高校生を指名する戦略が福浦、西岡、今江ら看板選手を育て、ファンの共感と感動を呼んだ。
そしてボビーという人材を得て、生まれ変わった。「千葉のファンには必ず戻ってくると言ってきた」。約束を守った指揮官の次なるターゲットは日本一しかない。
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