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2005/01/07(金)
海老沢会長が辞任表明、賃金カット検討
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NHKの海老沢勝二会長(70)が辞任の意向を固めたことが6日、明らかになった。東京・渋谷の同局で行われた定例会見で「05年度の事業計画と予算編成をきちんとした段階で、身の処し方を決めたい」と、事実上の辞任表明をした。時期については明言を避けたが、05年度予算成立後の3月ごろになるとみられる。NHKは一連の不祥事の影響で受信料不払いが増大し、職員の賃金カットや番組制作費削減も検討していた。 国民の怒りの声が、ついに海老沢氏を辞任に追い込んだ。 海老沢氏はこの日の会見で自らの進退について「改革路線や05年度予算をきちんと軌道に乗せた段階で身の処し方を決めたい」。さらに経営陣全体の責任について問われると「私(だけ)です」と語った。複数のNHK関係者は、任期途中での辞任を示唆したと受け止めている。 時期については「いつになるかは皆さんの解釈。作業段階で申し上げるわけにはいかない。任期はまだ約1年半ある。いずれにしても時期は差し控えたい」と明言を避けた。国会で予算と事業計画が承認される3月の辞任が有力とみられる。 海老沢氏は97年に会長就任、現在3期目で任期は来年7月までだった。 昨年7月に元チーフプロデューサーの制作費着服事件が明らかになった。それ以降、不祥事が相次いで発覚。それに怒った視聴者の受信料不払いは昨年11月末で11万3000件、収入減は約10億円に及んだ。9月に海老沢氏が国会に参考人として招致された時、NHKはこれを中継しなかった。海老沢氏は「私の判断でした」と語ったが、これが視聴者の怒りを加速させた。不払いはさらに増え続けているとみられ、NHKの経営基盤を揺るがす事態に陥っていた。 海老沢氏はこれまで制作費削減などの方針を明らかにしていたが、この日は「賃金をカットせざるを得ない。どこまでカットするかは、もう少し、収入を見てから」と職員の賃金カットについても言及した。この発言に同局の労働組合「日本放送労働組合」は「不祥事の影響による賃金カットは異例」と反発を強めていた。 後任についてはNHKの理事の内部昇格、外部からの招へいなどを経営委員会が中心になって検討することになりそうだ。しかし、7年の長期政権の間に、幹部は海老沢氏の側近で固められたともいわれる。NHKの体質を根本から変えるには、外部から大なたを振るうしかなさそうだ。
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