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2005/01/31(月)
漫画家中尊寺ゆつこさんが42歳で死去
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オヤジギャル」などの流行語を生んだ漫画家の中尊寺ゆつこ(本名・小林幸子=こばやし・ゆきこ)さんが31日午前8時45分、S状結腸がんのため横浜市内の病院で死去した。42歳の若さだった。昨年8月から闘病生活を送り、2度手術をしていた。葬儀・告別式は近親者だけで行う。喪主は夫で音楽ジャーナリストの小林雅明さん(39)。
セクシーな風ぼうにもかかわらず中年男性のように行動する「オヤジギャル」を生み出した人気漫画家が、42歳の若さでこの世を去った。
中尊寺さんは98年に音楽ジャーナリストの小林雅明さんと結婚。00年に長女・倭央ちゃん(わお=4つ)、03年に長男・欧司くん(おうじ=1つ)を出産し、幸せな人生を送っていた。しかし、昨年8月に激しい腹痛を訴え緊急手術。そのときはがんだとは分からなかったが、9月1日に夫婦でがんの告知を受けた。その後、もう一度手術を受け、今回が3度目の入院だった。
周囲には病気を隠し続けた。「仕事に集中していると痛みを忘れちゃう」と、入院中も仕事のために一時帰宅するなど、連載の仕事も続けた。一昨年から今月5日発売号まで漫画「ポリグロット・グリオ」を連載していた月刊誌「ソトコト」の担当者は死去当日まで、がんであることも知らなかったという。
3月に「やっぱり英語がしゃべりたい」(祥伝社)、4月に「ニューヨーク・ネイバーズ」(講談社)の2冊の著書の発売も決まっており、28日に「やっぱり―」の初稿ゲラをチェックしたのが最後の仕事になった。
横浜市内の事務所で取材に応じた夫の小林さんは「(著書の)完成品を見られなかったのが無念だったんじゃないかな」と声を震わせた。最期をみとった母・藤原七生(ななみ)さんも「『気力で治す』といっていたけど…」と涙ながらに話した。
中尊寺さんは小学生のころから漫画を描き始め、1987年に「ビジネスジャンプ」で新人賞を受賞。89年からは雑誌「SPA!」で、若い女性の生活を独特のタッチで描写した「スイートスポット」を連載。バブル絶頂期の時代の流れを的確に読み取り、同作で登場させた「オヤジギャル」は1990年の流行語大賞で銅賞を受けた。ほかに「お嬢だん」などもヒット、テレビ番組での本音トークや辛口エッセーでも人気を集めた。
葬儀・告別式は2、3日に近親者だけで行う。公私ともに親しかった「ソトコト」編集長の小黒一三(おぐろ・かずみ=54)さんが中心となって後日、お別れの会を催す予定だ。
◆中尊寺 ゆつこ(ちゅうそんじ・ゆつこ) 本名・小林幸子。1962年5月28日、東京都生まれ。42歳。建築家の父親の使用済みの設計図の裏に、3歳のころから絵を描き始め、小学2年の時にテレビ番組で天才漫画少女と称される。駒沢大法学部政治学科卒業後、家事手伝い、ゴルフ修業などを経て漫画家に。ブレーク後はエッセー、講演、シンポジウム参加など幅広い分野で活躍。著書も多数。
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