|
2004/09/04(土)
死者322人、半数は子供 ロシア最悪のテロ
|
|
|
4日共同】特殊部隊が突入したロシア南部北オセチア共和国ベスランの学校人質事件で、ロシア最高検のフリジンスキー次席検事は4日、死者が322人に達し、約半数の155人が子供だと発表した。ロシアで最近起きたテロの中でも最悪の惨事となり、チェチェン独立派への強硬姿勢を貫いてきたプーチン大統領は厳しい立場に追い込まれそうだ。 地元治安当局筋は同日、犯人側が学校の改修工事の際、大量の武器を校舎内に隠していたことを明らかにした。テロは周到に準備された犯行だった可能性が強まった。 フリジンスキー最高検次席検事は、犯人グループの26人を射殺するなどして殺害し、逃走犯は「まずいない」と言明、掃討作戦は終了したと述べた。当初、3人の犯人が拘束されたと伝えられていたが、拘束した犯人もいないと語った。 無残に崩れ落ちた体育館のがれきの下に、焼けこげた子どもたちの遺体が散乱していた。大流血の結末を迎えたロシア・北オセチヤ共和国の学校占拠事件。軍の「制圧宣言」にもかかわらず、多くの人質の消息は不明のままで、現地対策本部が発表する犠牲者数には、疑いのまなざしが向けられている。
人口わずか3万5000人。だれもが顔見知りの地方都市・ベスランは、無差別テロへの憤りとロシア政府への不信感に覆われた。
学校への軍特殊部隊突入から数時間を経た3日夜、市内プロフソユズ通りのアパート前に救急車が止まり、白いシーツにくるまれた少女をいとおしげに抱きしめた父親が降りた。
少女は父親の肩に顔を伏せ、シーツの下で血にまみれた裸の手足が力無く揺れている。テロの犠牲になった人質、6年生アリーナ・フベツォワちゃん(11)の無言の帰宅だった。 数分後、上階の少女の自宅の窓から、家族らの悲鳴と号泣が響き渡り、近所の人々が泣きはらした目で窓を見上げた。 数十メートル離れた民家の前でも、年老いた女性が声を上げて泣いていた。人質になった何人もの親せき同様の隣人たちの生死が、いまだに不明なのだ。「事件が終わったのに何の沙汰もない。小さな街だから、生きていればすぐ分かるはずなのに」と訴える。同様の光景が街のあちらこちらで繰り広げられていた。 学校に向けて街道を大型の保冷トラックが何台も走っていった。自動小銃を抱えた治安機関関係者が、「遺体を運び出しに行くのだ」と説明する。「そんなに犠牲者は多いのか」と聞くと、こっくりうなずいた。 政府は、当初、人質の総数を354人と過少に公表、決着後に実は1000人以上だったことを認めた。犠牲者数についても、同様の情報操作が行われているのではないか、との疑念が住民の胸をさいなんでいた。 「なぜ、我々までだますのか」と、我が子の帰りを待つ女性が怒りの声を上げた。 夜になり、当局から流れる犠牲者数が次第に増えるにつれ、ベスランの悲嘆と怒りも深まっていった。
|
|
|
|