|
2004/09/17(金)
<プロ野球スト>妥結に至らず 選手会、初の全面スト決行
|
|
|
プロ野球の近鉄、オリックスの合併問題を巡り、労働組合・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)と日本プロ野球組織(NPB、根来泰周コミッショナー)は17日、協議・交渉委員会(団体交渉)を東京都内で行った。来季からの新規参入球団の受け入れを求める選手会側と、「公正な審査」に時間がかかるとするNPB側の主張は平行線で、この日2度の延長交渉でも妥結に至らなかった。選手会は18、19日の公式戦(2軍を含む)のスト突入を決めた。予定されている1軍公式戦は12試合。プロ野球でストが行われるのは70年の歴史で初めて。 選手会は25、26日にもストを構えており、週明けにNPB側と再交渉を行う見通し。選手会は10月のストについて、27日に臨時運営委員会を開いて協議する。一方、NPB側は21日に実行委員会を開き、今後の対応やスト実施に伴う損害賠償請求について協議する。 公式戦はセ・リーグが中日にマジックが点灯する直前で、パもプレーオフ進出争いが大詰め段階を迎えている。ストで大きな打撃を受けるほか、交渉が今後妥結しなければ、パ・リーグのプレーオフや日本シリーズの開催も危ぶまれる。 前日に続く協議・交渉委には、選手会の古田会長らと12球団の代表者らが出席。選手会側はIT関連企業「ライブドア」の新規参入申請などを受け、来季からの新規参入受け入れを強く求めた。これに対し、NPB側は16日の交渉で根来コミッショナーが、第三者による「新規加入球団審査委員会」の設置などを提案したことを基に、審査に時間がかかるとして、参入は06年以降とすることを求めた。 午前11時から始まった交渉は平行線をたどり、選手会が17日午後5時と設定していた交渉期限は、NPB側の申し出で2時間延長された。さらに2時間延長されたが、妥協点は見いだせず、午後9時前、選手会がスト突入を決定した。 ◇願いはかなわず 古田選手会長の話 近鉄、オリックスの合併に反対してたくさんの署名をしていただいたファンにおわび申し上げたい。1年凍結して球界再編してもらいたいと要望したが、願いはかなわなかった。週末のプロ野球を楽しみにしていたみなさんに対しても心苦しく思います。我々としても、球団が消滅するということは、たくさんのファンの方、選手、その他にも大きな影響がある。凍結できないなら新規参入を促せないかと申し出たが、結論は来季は難しいということだった。妥結することができず、本当に申し訳なく思う。 ◇心からおわび 瀬戸山隆三・NPB選手関係委員長 国民的娯楽であるプロ野球のファンと国民の皆さまに憂慮を与えていることに心からおわびする。新規参入については審査を誠意を持ってやるが、公正にやる必要がある。時間が必要。プロテクトについてもできる限り選手を救済していきたい。 <プロ野球選手会> 野球教室など公益事業を行う社団法人と、雇用者である球団との間で選手の待遇改善交渉などを行う労働組合の2本立てで活動を行っている。 第2次大戦の終戦直後に親ぼく団体として発足。80年にまず社団法人として認可された。経営者側と対峙(じ)することはほとんどなかったが、82年オフに解雇通告された高橋博士(当時ロッテ)が再契約を求めた際、選手会が支援したことがきっかけで交渉団体としての色合いを強め、83年に組合結成の方針を決定。85年11月に東京都地方労働委員会から、労働組合として認定された。 この10年ほどは球団側との対決色を鮮明にしている。93年、選手が一定期間、同一球団に所属すれば自由に球団を選択できるフリーエージェント(FA)制の導入に成功。00年には契約更改交渉時の代理人同席を認めさせた。 労働組合の古田敦也選手会長(ヤクルト)は5代目で、98年12月に就任。12球団の日本人選手全員と一部の外国人選手が会員となっている。
|
|
|
|