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2004/08/30(月)
五輪閉会式、日本は「笑顔」もラッシュ
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燃えさかった聖火が、漆黒の空にゆっくりと消えた。17日間にわたって繰り広げられたアスリートたちの戦いが29日夜(日本時間30日未明)、幕を閉じた。108年ぶりに古里に戻ったアテネ五輪は空前の厳戒五輪でもあったが、テロの懸念は数々の感喜と涙の前に影をひそめた。過去最多のメダルラッシュに沸いた日本選手団。国家や宗教、人種を超え、「平和の祭典」の意味を改めてかみしめながら、五輪は次の北京へと引き継がれた。
ギリシャ音楽と踊りと手拍子で始まった閉会式。祝典に続き、各国の旗手が登場した。日の丸を掲げた女子レスリング銅の浜口京子選手(26)。悔し涙を流した顔は、晴れ晴れとしている。
3つのゲートから各国の選手がグラウンドに飛び込んできた。入り乱れて肩を組み、肩車し、スタンドに手を振る。
敗北後も、日本選手団の主将として現地で日本選手を応援した男子柔道の井上康生選手(26)。握手攻めと写真攻めに遭っていた。
「銀」「金」の女子レスリング伊調千春(22)、馨(20)姉妹は並んで入場。悔しがった千春選手にも笑顔が戻り、「銀は神様が『北京までやりなさい』と言ってくれたんだと思う」と、吹っ切れた表情を見せた。
ライバル選手の禁止薬物使用で銀から金に繰り上がったハンマー投げの室伏広治選手(29)。数時間前の会見での複雑な表情とは一転、外国人選手らと談笑する姿がみられた。
女子バレーボールの佐々木みき選手(27)は「世界一を目指すチームの意欲の高さを知った」。浜口選手もフランスのカヌー選手とユニホームを交換、「夢を追い続ける大切さを教わった。(北京に向けて)頑張ります」と話した。
「平和と隣人愛の中で続いた忘れられないドリームゲームを閉会します」
国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長が閉会宣言。聖火台の炎が静かに消えると、数千発の花火に続き、再び音楽と踊りが始まった。選手やボランティアが入り乱れ、観客も一体となって祭典の名残を惜しんだ。
■五輪=アヌシュ失格、室伏が繰り上げで金メダル
国際オリンピック委員会(IOC)は29日、アテネ五輪陸上男子ハンマー投げで優勝したアドリアン・アヌシュ(ハンガリー)を ドーピング(禁止薬物使用)違反で失格処分とし、金メダルをはく奪した。2位の室伏広治が繰り上げで、金メダルを獲得した。 IOCはドーピング疑惑のアヌシュに再検査を要求したが、同選手はこれを拒否。IOC規律委員会にも欠席したため、ハンガリー五輪委員会の会長が代わりに 出席し、潔白を主張した。 金メダルを獲得した室伏は記者会見で「真実が明らかになり、本当にうれしい」と、IOCに感謝の気持ちを述べ、「メダルの色はいろいろとあるが重要なのは努力 していく姿勢。人生には金メダルよりもっと大切なものがある」と語った。 日本は今大会の金メダル獲得数が、過去最多の1964年東京大会と並ぶ16個となった。
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