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2004/08/24(火)
女子レスリング 伊調63キロ級、吉田55キロ級が“金
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伊調姉は銀メダル 浜口は「銅」 きずな深め姉妹躍動 アテネ五輪から正式競技になった女子レスリングで55キロ級の吉田沙保里(中京女大)と63キロ級の伊調馨(中京女大)が優勝。今大会で日本が獲得した金メダルは計十五個となり、過去最多だった一九六四年東京五輪の十六個まで、あと一個に迫った。伊調馨の姉で48キロ級の伊調千春(中京女大)は銀、72キロ級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)は銅で、日本は全四階級でメダルを獲得した。二十二日に行われた女子マラソンでは野口みずき(グローバリー)が優勝し、日本勢が五輪2連覇を達成。土佐礼子(三井住友海上)が5位、坂本直子(天満屋)も7位に入り、日本勢は初の全員入賞を果たした。 五輪新種目、女子レスリングで、伊調姉妹が金メダルに挑んだ。姉の48キロ級の千春(二二)と妹の63キロ級の馨(二〇)。深いきずなで辛苦を乗りきっての頂点への挑戦。先陣を切った千春は決勝で延長戦の末に敗れ銀メダル。馨は終盤に逆転、金メダルを獲得し駆け寄った姉から涙の祝福を受けた。 ◇ 姉妹は「体重」と戦ってきた。千春は減量、妹は増量だった。 昨秋の世界選手権51キロ級を制した千春。この階級は五輪では実施されないため、昨年十月の団体戦のワールドカップを最後に48キロ級に落とした。 パワーとスタミナを失わずにどう体重を落とすか。ふだんの体重は約52キロのため、試合のたびに計量の四日前から体重を落とす。一、二日前はほとんど食べない。 馨は食べねばならない。二〇〇一年までは旧56キロ級だったが一六六センチの長身を生かし五輪で実施される63キロ級へ。しかし初の国際大会となった二〇〇二年秋の釜山アジア大会は優勝候補に挙げられながら二位。体重は60キロに満たずパワー不足、体重の重要性を思い知らされた。三度の食事に間食がパン、ゼリー、ヨーグルト。夜食におにぎり、うどん。食べられない姉に食べきれない妹。勝つために耐えた。 ◇ 協力も、あった。 「プレーオフまでの五十日」が二人のきずなを、より強くした。馨は昨年十二月の全日本選手権、二月のクイーンズカップを連勝し五輪代表に決定。千春は全日本は勝ったが、クイーンズ杯で同門の坂本真喜子(中京女大)に負け、約五十日後の四月のプレーオフに臨むことになった。 真喜子の姉は千春のライバルの日登美。伊調と坂本の「姉妹対決」と話題を呼んだ。千春と馨はコーチと選手の関係となって、濃密な時間を過ごした。 「頭が高いよ」「それじゃ真喜子のタックルは防げない」。勝つことだけを考えた。千春は勝った。「馨がいたから強くなれた」。馨も「姉の執念、努力が勉強になった」と振り返る。 ◇ 故郷の青森・八戸から京都の網野高に移ったのは千春。馨は愛知の中京女子大付高に進んだ。違う道をたどったが、大学は中京女子大でいっしょになった。そして同じ舞台ではともに決勝に進出。しかし、千春はメルニク(ウクライナ)に延長の末、一歩及ばず。「オリンピックの銀でも、うれしくない」。姉の悔しさを、馨は逆転勝利で晴らした。(鮫島敬三) ◇ 【レスリングの勝敗】(1)フォール勝ち(相手を押さえ込み両肩を1秒間マットにつける)(2)テクニカルフォール勝ち(得点差10点以上)−で決するが、(1)、(2)以外に3分2ピリオドを終え得点の多い方が勝者となる。同点の場合、3分の延長を行い先にポイントをとった方が勝ち。双方が3点に満たない場合も延長戦を行い、先に3点をとった方が勝ちとなる。 延長戦でも決着しない場合は審判団の協議で勝敗を決する。伊調は判定基準の一つ、パッシブ(消極的選手に与えられるペナルティー)を受けていた。基準には、ほかに警告数やポイントの獲得内容などがある。
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