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2004/06/23(水)
通勤客、出口に殺到…駅員銃撃にラッシュの朝騒然
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朝のラッシュアワーのターミナルで、突然鳴り響いた銃声。地下鉄改札口付近での銃撃は、慌ただしく行き来する通勤客らの足を凍り付かせた。
２３日朝、東京メトロ半蔵門線渋谷駅で駅員が撃たれた殺人未遂事件。乗客とのトラブルがあったのか、行きずりの犯行か、背景はわからない。警視庁渋谷署は発砲した中年の男の行方を追っているが、衆人環視の中で駅員が撃たれた事件に、駅は恐怖に包まれた。
東京メトロ渋谷駅に勤務する西岡茂雄さん（３２）が撃たれた現場は、同駅地下１階の定期券売り場前。改札口に近い通路上で、事件発生時は東口に抜ける通勤通学客で人波が絶えなかった。パーンという大きな音が響き渡った後、それが銃声だと分かった客らは地上に向かう各出口に向けて一斉に走り出し、構内は一時、パニック状態になった。
地上出口近くでフリーペーパーを配っていたアルバイト男性（２３）は「銃声がしたと思ったら、エスカレーターと階段の両方から顔を引きつらせた乗客たちが、なだれを打つようにこっちに駆け上がってきた。テロかと思い、怖くなった」と驚いた表情。
その後、乗客らは青ざめた顔で「誰かが撃たれたみたいだ」と口々に話していたという。
午前９時過ぎ、西岡さんは救急隊員の手で担架に乗せられ、他の駅員に付き添われて、都立広尾病院に搬送された。病院関係者は「意識はあると聞いている」と話した。
同僚の男性駅員は「西岡さんはおとなしい性格で、乗客とのトラブルに巻き込まれるような人ではなかった」と、事件が信じられない様子。
この駅員によると、西岡さんは、東京メトロ銀座線渋谷駅での泊まり勤務を終え、地上３階の同駅から地下１階の駅事務所に戻る途中だったという。「何があったのか。犯人が許せない」。駅員は表情をこわばらせた。
渋谷駅で待ち合わせ中だった東京都葛飾区の女性会社員（２０）は、「銃を持った男がまだ逃げていると聞いて怖くなった。よく買い物に来る町なので早く捕まってほしい」と声を震わせた。
横浜市から来た女性（７０）は「駅の出入り口で、警官が大勢いるので、何事かと思った。いろいろ事件が相次いでいるので、本当に怖い」と話した。
毎日、通学で渋谷駅を利用している男子学生（２５）は「銃を持っている人がどこにいるのか分からないと思うと、非常に怖い」と不安を口にした。
警視庁は今年３月以降、国際テロ対策の一環として、都内のターミナル駅６駅に連日、計約３５０人の機動隊員を配置。渋谷駅では事件当時、ＪＲ渋谷駅を中心に数十人の機動隊員が警戒にあたっていたが、事件を目撃した隊員はいなかった。
◆「強い衝撃」東京メトロ◆
東京メトロは２３日、「駅構内でこのような事件が起こったことに強い衝撃を受けております。お客様に何の被害もなかったことは幸いと思っておりますが、今は負傷した社員の一日も早い回復を祈るとともに、２度とこのような事件が起こらないことを願っております」とのコメントを出した。
◆昨年の発砲事件、組員以外２５人死傷◆
警察庁によると、昨年１年間に起きた発砲事件（１３９件）による死傷者は６７人で、このうち暴力団組員を除いた死傷者は２５人に上っている。負傷者が前年の１８人から１４人に減ったのに対し、死者は５人から１１人に増えている。
一般市民が銃撃された事件としては、昨年２月に元暴力団組長が大阪府堺市の病院でのトラブルを巡ってこの病院に押し入り、看護師長に発砲、死亡する事件が起きている。その１か月前には、前橋市のスナックで、店内にいた客６人が撃たれ、市民３人を含む４人が死亡した。
１９９７年８月には神戸市のホテルロビーで、暴力団幹部ら３人が撃たれた際、近くにいた歯科医師が巻き添えになり死亡。９５年７月には東京・八王子市のスーパーで、アルバイトの女子高校生ら３人が頭や顔などを撃たれ死亡した。
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