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2004/06/02(水)
3年ぶり白星に涙なし 黒木、勝利は「通過点」
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“感激屋ジョニー”に欠かせないはずの涙はなかった。黒木にとって、2001年7月7日以来、約3年ぶりの白星は「素直にうれしい」。だが、はじけるような笑顔ではない。はにかみがちな笑顔は「これからが始まり」という新たな決意を強く語っていた。 4月17日の復帰登板から数え、6度目の先発。援護に恵まれず、白星は手にできなかった。「頭で考えていることと、かみ合わない」「もう、投げる喜びだけでは…」。苦難の日々は続いた。前回は6回を1安打0点に抑えたが、肩に微妙な違和感を覚えるアクシデントに見舞われた。 だが、「もう一度、喜びを味わいたい」。復活だけを信じ、3年間を費やしてきた男は、そのくらいではつぶれない。 この日は制球に苦しんだ。5−0の2回1死満塁のピンチを背負う。だが、逃げない。内外角、コーナーを突く投球で、笹川、井口を連続三振に切って取った。 5回を無失点で投げ終えたものの、115球を費やした投球には、反省も忘れない。「もっと、もっといい投球に戻すことができる」。6回以降のダッグアウトで、頭をよぎるのは、次への思いばかりだった。 1勝は「通過点」と言い切った。「胸には何か違うものが詰まっている」。それはエース完全復活への強い意志なのか。「涙はもっといい時まで取っておきます」。さすが“役者”の心意気だった。
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