|
2004/05/15(土)
<小泉首相訪朝>ジェンキンス氏の扱い焦点に 米の訴追懸念
|
|
|
政府は小泉純一郎首相の北朝鮮再訪問に関し、拉致被害者家族8人の帰国実現に全力を挙げる方針だが、焦点になるのが曽我ひとみさん(44)の夫で元米脱走兵のジェンキンス氏(64)の来日方式だ。同氏は韓国の駐留米軍に所属していた65年に北朝鮮に入ったが、米国が「脱走罪」で訴追する可能性があり、本人が出国に難色を示すことも予想されるため。政府は恩赦を含めた「格段の配慮」を求め、米政府への働きかけを強める方針だ。
「北朝鮮は本人の意思を言える資格はない。ジェンキンスさんを曽我さんのもとに送り出してもらわなければならない」。自民党の安倍晋三幹事長は15日の北海道旭川市の講演でこう強調した。
しかし、02年10月に曽我さんが日本に帰国する際、ジェンキンス氏は「妻は恋しいが、日本に行けば逮捕される」と出迎えの外務省担当者に話したという。ジェンキンス氏が今回来日を拒めば、「家族愛の強い娘2人も北朝鮮に残ると言い出しかねない」と懸念する声も外務省内で出ている。
政府内では、蓮池薫さん(46)と地村保志さん(48)の2家族5人を先行帰国させ、曽我さんと娘2人の計3人が日朝間を自由に往来する案も出ているが、現段階では「家族の分断は北朝鮮のペースに乗ることになる」として、ジェンキンス氏を含めた8人の早期・無条件帰国を目指すことにしている。
一方、米政府は「米国の保護下に戻されたら、訴追されるだろう」(ベーカー駐日米大使)などと法に従って対処する方針を崩していない。米兵によるイラク人虐待事件の影響で、米軍は軍の規律を厳格にする傾向にあり、ジェンキンス氏が来日した場合、ただちに日米地位協定に基づいて引き渡しを求められる可能性もある。
日本政府は、ジェンキンス氏に持病があることから、「人道的配慮」で日本で治療させると、米政府を説得することも検討している。ジェンキンス氏はかつて日本の週刊誌に対し、「脱走兵の時効は40年と聞いている。その後(時効を迎える05年)なら行ける」とも述べている。「入院して時間を稼いで、事実上の恩赦にする」(政府関係者)などの打開策も浮上している。
|
|
|
|