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2004/04/03(土)
「水戸黄門」風車の弥七、天国へ旅立つ-中谷一郎さん死去
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弥七、死す−。TBS系の時代劇ドラマ「水戸黄門」の風車の弥七で知られる俳優、中谷一郎(なかたに・いちろう、本名・中村正明=なかむら・まさあき)さんが1日、咽頭(いんとう)がんのため都内の病院で亡くなったことが2日、わかった。73歳だった。中谷さんは11年前に大腸がんの手術を受け克服したが、昨年12月に再発が確認され入院していた。
ピンチの時に飛んでくる赤い風車、敵を倒した後に見せるニヒルな笑い…。31年にわたり、黄門様に仕えた弥七が、死出の旅に出た。
所属する俳優座の古賀伸雄代表によると、中谷さんは、10年ほど前に結婚した妻で同劇団女優の美苗さん(50)に看取られ、静かに息を引き取ったという。
11年前に大腸がんの大手術を受けてからは、病との闘いだった。この時は術後約半年で仕事に復帰したが、再発の不安は消えなかった。昨年12月の定期検査で咽頭(いんとう)がんが発見され、告知を受けた。正月明けに入院し、再び精密検査を受けたところ、「手術をしても結果は五分五分」(担当医)との診断。美苗さんと相談し悩みに悩んだが、最後は「手術はやめよう」と自分で決断したという。
一るの望みを抗がん剤の投与、放射線の治療にかけたが、腕っ節の強い弥七も病魔には勝てなかった。
中谷さんは昭和30年に俳優座に入団。34年の映画「独立愚連隊」(岡本喜八監督)で注目を集め、「用心棒」「切腹」「日本のいちばん長い日」などで存在感のある脇役として活躍した。
代表作はテレビドラマ「水戸黄門」。44年8月スタートの第1回から弥七役で出演し、故東野英治郎さん、故西村晃さん、佐野浅夫の歴代黄門に仕え、出演回数は計687回に及んだ。“東野黄門”が引退する際、共に辞めようと思ったこともあったが、「番組自体を終わらせる」との脅しを受けて続投を決めたエピソードも。元忍者で義賊という設定でファンも多かったが、体調不良のため平成11年の第27部の途中で降板。昨年12月25日放送の1000回スペシャルでは、過去の映像を編集し登場した。
お茶の間で愛されたヒーローは、天国でまた東野、西村両黄門とともに気ままな旅をしているにちがいない。
★葬儀日程
通夜は4日午後6時から、葬儀・告別式は5日午前11時半から東京都目黒区碑文谷4−21−10、帝都典礼碑文谷会館で行われる。喪主は妻の美苗(みなえ)さん。葬儀委員長は俳優座代表の古賀伸雄氏。
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