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2004/04/24(土)
日本、北朝鮮に3−0 五輪出場権を獲得
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東京・国立競技場が歓喜に揺れた――。24日に行われた女子サッカーのアテネ五輪アジア予選準決勝で、日本は北朝鮮を降し、96年アトランタ五輪以来2大会ぶり2度目の五輪出場を決めた。スピードとパワーで上回る北朝鮮に対し、積極的に前から当たっていった姿勢が勝利に結びついた。コンパクトな守りと速い攻守の切り替え。世界と戦うために掲げてきたサッカーが結実した。他の1試合は中国が1―0で韓国を降して五輪切符を獲得。日本と中国の決勝戦は26日午後6時半、広島ビッグアーチで行われる。
これでアテネ五輪出場10チームが出そろい、本大会1次リーグの組分け抽選は、男子と同じ6月9日にアテネで行われる。
○日本3―0北朝鮮●
日本は立ち上がりから攻めに出た。前半11分、川上が右サイドからゴール前にクロス。北朝鮮DFがクリアミスしたボールを、荒川が右足で決め先制した。その後は、北朝鮮の速い寄せにパスミスが目立ちペースを握られたが、ロスタイムに荒川が左サイドをドリブル突破。低いセンタリングをゴール前に入れると、北朝鮮DFチャン・オクキョンがオウンゴール。後半19分には、右CKから宮本がヘディングでゴール前に折り返し、大谷が右足で押し込んで突き放した。GK山郷の好セーブやDF陣の体を張った守りで、北朝鮮に得点を与えず逃げ切った。
◇試合経過
日本は立ち上がりから攻めに出た。前半11分、川上直子が右サイドからゴール前にクロス。北朝鮮DFがクリアミスしたボールを荒川が冷静に右足で決め先制した。日本はその後は、北朝鮮の速い寄せにパスミスが目立つようになりペースを握られたが、ロスタイムに荒川が左サイドをドリブル突破。ゴール前に入れた低いセンタリングを北朝鮮DFチャン・オクキョンがオウン・ゴール。日本が前半を2点リードして終えた。
日本は後半19分、右CKから宮本ともみがヘディングでゴール前に折り返し、そのボールを大谷未央が右足で押し込んだ。
日本はその後、北朝鮮の猛攻にさらされたが、GK山郷のぞみの好セーブやDF陣が体を張った守備で踏ん張り、北朝鮮に得点を与えず逃げ切った。
■荒川選手の話 (先制ゴール)この大勢の観客の中で、やれたことがパワーになった。けがをしている時に支えてもらった人たちに恩返しできたかな、と少し思います。
■大谷選手の話 (3点目のゴールを決め)荒川選手も決めていたので、自分も決めたい気持ちが強かった。北朝鮮にはずっと負けていたので、絶対負けたくなかった。
■日本サッカー協会・川淵三郎会長の話 正直言って勝つのが難しいかなと思っていたが、今までで一番落ち着いていて、しっかり自信を持ってプレーしていた。今日は堂々たる勝利。うれしかったなあ、本当に。選手たちに敬意と感謝を伝えた。
◇「前へ」の気持ちで格上の相手から勝利奪う
開始早々、沢穂希がこの試合にかける強い意気込みを身をもって示した。中盤で沢が厳しいプレスをかけてボールを奪ったのをきっかけに、日本は相手ゴール前まで一気に迫った。開始わずか30秒以内の速攻だった。
この日の対戦前まで、北朝鮮との通算成績は1勝1分け7敗。しかも7連敗中。北朝鮮のスピードとパワーにいかに対抗するか。「前から追い込むコンパクトなディフェンス」に活路を見出そうとした。立ち上がり早々の沢の気迫あふれるプレーが、それを体現し、チームメートの闘争心にも火をつけた。
先制ゴールを決め、貴重な追加点をおぜんだてした荒川。思い切りよくスピードに乗ったドリブルで攻め込むそのプレーも、沢が引き出したと言える。チーム全体の攻める気持ちは、相手の焦りやミスを誘う。荒川や大谷の「前へ」の気持ちが相手のミスを誘い、貴重な追加点を生んだ。
女子のボール競技で既に五輪出場を決めているバスケットとホッケーは、予選で格上の韓国を降す金星を挙げた。ともに共通していたのは、難敵に立ち向かうのに「技術よりも気持ち」「何も考えずにやった」という気力と無心さだった。
失うものは何もないという、いい意味での開き直り。この日の女子サッカーの日本も、同じ気構えを引き継いでいた。後半は攻め込まれる場面も増えて何度もピンチを迎えたが、体を張った守りでしのぎきった。
大会前に「北朝鮮に勝つ最大のチャンス」とみていた上田監督。その言葉通り、日本は男子に続いてのアテネ切符を手に入れた。以前までのひ弱さを少しも感じさせない、堂々とした勝利だった。【阿相久志】
○…シドニー五輪を逃した時の悔しさをバネに、日本の正GK山郷が北朝鮮相手に何度も素晴らしいセーブを見せた。アトランタ五輪後に正GKの座を奪取した山郷は、シドニー予選を兼ねた99年米国W杯の予選リーグの3試合にフル出場。だが、ロシア戦で5失点、ノルウェー戦で4失点するなど、2敗1分けで決勝トーナメントに進めず、シドニーへの切符も逃した。それから5年。北朝鮮は何度もロングボールを放り込んできたが、キーパーとして円熟期に入ろうとしている山郷が落ち着いてDF陣に指示。後方からの指揮官としてチームをまとめた。
○…日本を上回る計15本のシュートを浴びせた北朝鮮に対し、日本は磯崎浩美、下小鶴綾らDF陣が体を張った守りを見せた。2月から本格的に代表入りした下小鶴は「ほんまに、うれしいです」と笑顔。
「自分たちが何点取ろうと、90分間集中して無失点で終わろうと話し合っていた」と、リードにも浮かれることなく、守りに神経を研ぎすませ続けた。2列目からタイミングよくゴール前に襲いかかる北朝鮮のリ・クムスクの動きを見極める、21歳とは思えない冷静さも光った。上田監督が「長身(167センチ)で、90分間集中できる精神力と体力」と絶賛した通り、抜てきに見事に応えた。
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