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2004/04/13(火)
救出を訴える家族 疲労も限界に近づく
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イラク日本人人質事件は発覚から6日目の13日、現地からの表だった情報がなく推移した。家族は、心労に体の疲れが重なり、病院で点滴を受ける人も出始めた。それでも家族は前日に続いて政党を回ったり、海外メディアの取材を受けるなど3人の救出を必死に訴えた。その願いは知人、さらにその周辺、各地へと広がっている。
◇限界に近づいている家族の疲労
「いい情報も悪い情報も入っていない」。イラクで人質となった3人の家族は13日午後7時半すぎ、東京都千代田区の北海道東京事務所前で記者会見した。ボランティア活動家、高遠菜穂子さん(34)の弟修一さん(33)は、疲れの色を隠せなかった。
前夜から連絡役として事務所に居残った修一さんは、朝のラジオ番組の電話インタビューの途中で気分が悪くなり、約7分間中断した。昼過ぎには、同事務所職員2人に抱きかかえられるようにタクシーに乗り、病院へ向かい、点滴を受けて再び事務所に戻った。それでも、会見では「立てなくなるまで続ける。長期戦になることも含めて全力であたる」と語った。
家族の疲労は限界に近づいている。NGO代表、今井紀明さん(18)の父隆志さん(54)とジャーナリスト、郡山総一郎さん(32)のいとこ、三浦道さん(31)はこの日、疲れた体を引きずるように、各政党を回った。前日、口頭で伝えた要望を書面にして手渡した。
隆志さんは夜の会見で、各政党への要望書提出の様子を尋ねられたが、「頭がぼおっとして、誰と会ったのかもよく覚えていません」。この日の要望書には、前日に口頭で伝えた内容にはあった「自衛隊撤退要請」の文言を入れなかった。それについて隆志さんは「撤退を相手が要求してきたからこれまで入れていただけ。人命尊重を第一にしてほしいということだけです」と声を荒らげた。
家族らは英国放送協会(BBC)東京支局のインタビューも受け、人質解放を訴えた。高遠さんの妹井上綾子さん(30)は、犯人グループに向けて「私たちは怒っていない。生きている姿を見せてほしい」と必死に呼びかけたという。今井さんの母直子さん(51)は「混乱しているイラクの中で、救出のため働いて下さっている方に感謝します」と語りかけた。
取材は家族の希望で実現した。BBCはアラブ圏でも広く視聴されており、アラビア語のラジオ放送は特に聴取率が高いという。
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