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2004/11/03(水)
<ダイエー>井口が大リーグに挑戦 主力を自由契約で放出
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プロ野球福岡ダイエーホークスの井口資仁内野手(29)が3日、自由契約選手となって大リーグに挑戦することが決まった。球団が主力を自由契約にして放出するのは異例だが、昨年11月、当時の高塚猛オーナー代行=強制わいせつ容疑で送検=が、自分の退任後は自由契約にする覚書を結んでいた。ダイエーは小久保裕紀内野手(巨人)に続き、2年連続で主力選手を無償で失うことになった。 高橋廣幸球団社長が井口選手とともに福岡市内の球団事務所で発表した。高橋球団社長らによると、覚書は「(中内正)オーナーあるいは(高塚)オーナー代行が退任した場合は、自由契約選手になる選択権は井口選手にあり、球団は異議を申し立てない」との内容。 高塚前オーナー代行は02年の契約更改で、03年のシーズン終了後にポスティングシステム(入札制度)で井口選手を大リーグに挑戦させる約束をした。しかし小久保選手と村松有人外野手の主力2人が移籍したため、挑戦を延期させるために覚書を提案したという。 球団によると、約束も覚書も高塚前オーナー代行の独断だった。しかし今年9月にオーナー代行職を辞任したため、覚書が発効。井口選手はシーズン終了後、球団側に自由契約を申し入れた。高橋社長は「契約は不可解で不明朗な内容だが、契約を遵守しなければならないという社会ルールに従わざるを得ない。苦渋の選択だ」と述べた。 ▽井口 (メジャー挑戦は)長年の夢だったし、球団に感謝している。なるべく早く代理人を見つけて、多くの球団の話を聞ければいいと思う。一番評価してくれる球団に行って、自分を試してみたいと思う。希望球団はないが、自分が出場出来ないと意味がない。 ◇高塚前オーナー代行が独断で覚書 球団関係者は批判 ダイエーが井口の大リーグ挑戦を自由契約選手で認めたことは、球界にとって異常な事態だ。 高塚・前オーナー代行と井口が昨年11月に交わした覚書は、野球協約の「選手契約」の「特約条項」に当たる。これは表に出ない複数年契約や出来高払いなどに使われるもので、今回のような大リーグ挑戦での容認は、「常識の範囲からしておかしい」(高橋球団社長)という。 覚書は昨オフに井口の大リーグ挑戦をとどめるためだけでなく、「中内―高塚体制」の維持も狙った。高塚前オーナー代行は覚書がある限り、「自分が辞めれば井口も出て行く」という暗黙の脅しとなり、球団関係者は「実質的に井口を人質にした契約」と批判した。 このため、球団側は交渉の際、井口がFA権を持っていないにもかかわらず、強気に出られなかった。ポスティングシステムならば、球団が認めない限りは井口は退団できないが、今回は井口に自由契約の選択権があった。井口は「退団の方法は関係なかった」と話すが、自分で球団を選択できる自由契約にこだわった。交渉の中でも「経営陣は変わっても、球団と結んだ契約は有効」と突っぱねたという。 高塚前オーナー代行が独断で結んだ覚書。高橋社長は「このような契約はほかの選手にはない」と言いながらも、「もう一度洗い直してみなければわからない」と半信半疑。昨年11月に佐々木博茂会長を送り込んで以来、高塚前オーナー代行に思うがままに操られていた球団の改革に取り組むダイエーだが、目指すものにはまだ遠い。せっかくかなえられた井口の夢ではあるが、後味の悪さだけが残った。
▽ダイエー・王監督 このような結果になり残念。行く以上は、日本を代表する選手として頑張ってほしい。チームを再編成して、来年こそは日本一を奪回できるように頑張りたい。 ▽鳥越(選手会副会長) 個人的には彼がメジャーで野球する姿をテレビで見たい気持ちはあるけれど、チームにとっては痛いし、複雑な気持ち。うちは他の見本になる球団にならないといけないチームなのだから、そういう意味でもこういうおかしい契約はこれで最後にしてほしい。 ▽城島 一緒に戦ってきたメンバーがいなくなるのは残念。でも夢だったわけですから。自由契約? 小久保さんの時とは事情が違うのでしょうけれど、球団には1円も入らないのでしょう。 ▽和田 夢だったので応援したい気持ちもあるけれど、チームにとってはマイナス。 ▽新垣 試合でもすごく助けてもらったし、抜けるのは正直寂しい。でも本人の夢でもあったわけだし、行く以上は応援します。 ▽柴原 井口がやりたいようにやらせたい。同級生としても誇りに思います。
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