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2004/11/22(月)
トレード志願の岩隈を援護=オリックスと接触−プロ野球選手会
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岩隈久志投手が合併球団のオリックス入りに難色を示している問題で、同投手の意向を受けた労組日本プロ野球選手会(会長・古田敦也ヤクルト捕手)は22日、問題の解決に向け、すでにオリックス側と接触したことを明らかにした。岩隈は近く小泉球団社長にトレードを直訴する決意を固めており、同選手会の松原徹事務局長は「このままなら無償トレードになるべきだ。交換トレードをしたり、行く先が楽天以外となると、筋が違うのではないか」と話した。 同選手会と日本プロ野球組織は、合併球団が分配ドラフトで選手のプロテクト(優先確保)を決める際に「選手の意思に配慮する」と申し合わせている。これを基に選手会は、意思に反してプロテクトされた岩隈をバックアップする考え。松原事務局長は「(オリックスとは)信頼関係に基づいて話をし、遅くとも11月末までに解決したい」としている。
■古田選手会長、岩隈を全面支援
労組日本プロ野球選手会の古田敦也会長(39=ヤクルト)が21日、合併新球団のオリックス入りを拒否している岩隈久志投手(23)に対する全面支援を約束した。古田はこの日、12月1日にオープンする羽田空港ターミナル2で行われた映画「ターミナル」の試写会にゲストとして出席。「彼は日本の財産。希望通りにいくようにアシストするつもり」と、選手会を挙げて移籍をサポートする姿勢を示した。 古田の言葉に熱がこもった。イベント終了後、報道陣に岩隈について質問された。「引退されたら困る。日本にとっても財産ですから」。岩隈をおもんぱかる一方で「口で(岩隈に対する)変な言い方が出るのだけはやめてほしい」とオリックス側へくぎを刺すことも忘れなかった。 映画「ターミナル」ではトム・ハンクス演じる主人公が、ニューヨークでのある“約束”を守るため、JFK空港で入国許可をひたすら待ち続ける。そんな姿は今季の古田とも重なる。粘り強く経営陣と戦い、来季の12球団2リーグ制を勝ち取った。それはまさに映画の主人公のようだった。 信念を曲げなかった古田だからこそ、岩隈の気持ちもよく分かる。 古田「ぼくでも(プロテクトを拒否した)礒部や岩隈と同じ行動を取ってると思う。たくさんのファンの方と一緒に戦ってきた思いが強ければ「そういうわけにはいかない」という気持ちにもなりますから。彼には希望をかなえてほしい」。 既に選手会事務局に相談している岩隈に、自ら助言を惜しまない姿勢だ。 確信する言質もある。スト回避が決定した9月23日の労使交渉。苦渋の決断でオリックス・近鉄の合併こそ承諾したが、選手の去就に関しては各自の意向をくむことを確認している。 古田「選手の意向をくむということを小泉さん(オリックス社長)から聞いてますから。本人の要望があれば、その方向に進むように調整していただけると、ぼくらは思っている」。 またトレードともなれば噴出するであろう、金銭面などの諸問題にも言及。 古田「極端な話、法外な値段を言ったりすると、おかしな話になってきますから。みんなが見てますから、あまり変なことはしないと思ってますけど」。 ストが回避され新規参入も決まった。だがそれだけでは「選手会長」の仕事は終わらない。事態の成り行きを静観しつつ、岩隈の去就には最後まで注視し続ける。
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