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2004/11/12(金)
不審潜水艦 中国原潜と断定 町村外相が謝罪要求
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政府は12日、沖縄県・先島諸島周辺の日本領海を侵犯した潜水艦について中国海軍の原子力潜水艦と断定し、中国側に抗議した。防衛庁は探知したスクリュー音から「漢級攻撃型原子力潜水艦」とみている。中国方面へ潜航を続けていた原潜は同日午後1時ごろ、沖縄本島の北西約500キロに達し、防衛庁が防空識別圏の外側にあらかじめ設定していた追跡ラインを超えたため、大野功統防衛庁長官は午後3時50分、海上自衛隊に発令していた海上警備行動を解除、P3C哨戒機などによる追尾を打ち切った。 町村信孝外相は12日夕、中国の程永華駐日公使を外務省に呼び、強く抗議するとともに、謝罪を求めた。程公使は「ただちに本国に報告する」と答えたが、原潜の行動については「調査中であり、今ただちに抗議を受け入れ、謝罪するわけにはいかない」と後日回答する姿勢を示すにとどまった。外相は「大変に遺憾だ。誠実かつ迅速な対応を求める」と、領海侵犯の理由と再発防止策を示すよう申し入れた。 中国の原潜と断定した理由について大野長官は記者会見で(1)長時間浮上していないことから原子力潜水艦であることが確実で、周辺では中国とロシアしか所有していない(2)東シナ海を北北西の中国方面に向かった(3)浅海を潜航するには海底の地形などの情報が必要で、現場海域に近接した中国海軍に絞られる−−と説明。実際には海自が収集した音紋(おんもん)と呼ばれるスクリュー音から事前に特定していたが、中国側に提示できない機密情報であるため、公表しなかった。 小泉純一郎首相は12日夜、記者団に「わが国の領海に侵入したことは極めて遺憾」と語る一方、「日中関係は重要だから、悪影響のないようお互い努力していきたい」と述べ、外交への影響を最小限にとどめる考えを強調した。また日中首脳会談の展望について「会談は会談として、日中関係の発展を考えていく必要がある」と述べ、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に胡錦涛国家主席との会談を実現させることへの意欲を示した。 ■中国原潜の領海侵犯事件に対する小泉純一郎首相と大野功統防衛庁長官の発言要旨は次の通り。 ◆小泉首相 わが国の領海に侵入したことは極めて遺憾なので、中国側に抗議した。なんでこんなことになったのか、中国側に回答を求めていく。日中関係は重要だから悪影響のないようお互い努力していきたい。この問題、どういう回答があるか分からないが、(アジア太平洋経済協力会議首脳会議の際に開く方向で調整中の日中首脳)会談は会談として、日中関係の発展を考えていく必要がある。 ◆大野防衛庁長官 政府としては、潜水艦が日本海域を離れて航行した方向や原子力潜水艦であったことなどを総合的に勘案し、中国海軍に属するものと判断した。 追尾の範囲として、防空識別圏が目安だったのは確かだが、よく監視する必要があると判断し、圏外に出ても追尾した。(哨戒機が)中国領空に入れば問題だが、領空ぎりぎりまでも行っていない。潜水艦の種類は特定できると思うが、特定したとは聞いていない。友好国の潜水艦であれば、浮上し旗を揚げて通航すれば何の問題もなかった。やはり、きぜんとして抗議せざるをえない。
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