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2004/10/16(土)
<日本シリーズ>西武先勝 石井貴ら好投、和田先制弾
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16年ぶりの中日と西武の対決は、西武が先勝した。04年日本シリーズは16日、ナゴヤドームで開幕し、第1戦は石井貴、川上の両先発が息詰まる投手戦を展開。西武は四回に和田の左越えソロなどで試合の主導権を握り、石井貴―小野寺―豊田と「勝ちパターン」の継投で中日打線を零封。02年の原(巨人)・伊原(西武)以来、3回目となる新人監督同士の対決は、伊東監督が初勝利を飾った。なお、五回に谷繁の捕ゴロの処理の判定を巡って試合が49分間中断した。 ○西武2−0中日● 中日は川上、西武は石井貴が先発。西武は四回1死後、和田が左翼ポール際にシリーズ1号ソロを放ち先制した。五回は2死から佐藤の右中間二塁打と赤田の右前打で一、三塁。続くフェルナンデスの平凡な右飛を英智が落球、三塁走者の佐藤が還り2点目。 中日は石井貴の巧みな投球にてこずり、三回まで一人の走者も出せない。四回、2死から立浪がチーム初安打となる遊撃内野安打で出塁したが無得点。 中日は五回、1死一塁で谷繁が捕ゴロ。西武守備陣は二塁から一塁に転送し、併殺が成立したかに思えたが、捕手・野田が打者走者の谷繁にタッチしたと判断した球審の判定をめぐり試合が中断、49分後にようやく再開された。 西武は八回に小野寺、九回には抑えの豊田を投入し、中日打線の反撃を封じ、逃げきった。中日は川上が2失点にとどめたが、2安打と打線が精彩を欠いた。 ▽西武・伊東監督 中断などいろいろあったが、第1戦で勝利し、ほっとしている。初戦を取ったので、これから気楽な気持ちで戦えるし、選手ものびのびプレーできるだろう。中日は投手を中心にまとまったチームだが、今日は打線が湿っていた。 ▽中日・落合監督 (わずか2安打)ヒットの競争をしてるわけじゃない。石井貴が良いのか悪いのか、(自分が)打席に立っていないので分からない。(試合中断について)審判のミスは仕方ない。選手も審判もいつもより硬くなっていた。1、2戦やれば慣れてくるよ。 ◇西武 不名誉なレッテル、突き破った和田の一発 三回までパーフェクトに抑える最高の立ち上がりを見せた石井貴。ベテラン右腕の力投に真っ先に応えたのがチームリーダーの和田だった。 「貴さんが気迫の投球を見せていたので、何とか先制点が欲しかった」。そう振り返った四回の第2打席。和田は1ストライク後の内角低めの147キロを、詰まりながらも左翼ポール際へとたたき込んだ。貴重な先制ソロ。しかも相手エースがこん身の力を振り絞って投げた球を、スタンドまで運んだことに意味があった。 和田にとって日本シリーズは4度目。しかし、過去3度のシリーズでは1本もヒットを打てなかった。巨人の前に1勝も出来なかった前回(02年)は15打数無安打。「あの時は舞い上がって、練習中からそわそわしていた」 だが今年は違う。「色んな経験をして、2年前よりも成長した」。試合前、和田はそう話していた。けがのカブレラに代わり、開幕から6月まで4番を務めた。合併問題で選手会長として経営陣と渡り合った。プレーオフでは、第2ステージ進出を決めるサヨナラアーチも放った。 二回の第1打席。和田は右越えに三塁打を放ち、日本シリーズ初ヒットを記録した。そして四回の一発。「大舞台に弱い」。不名誉なレッテルを張られた男がついに殻を突き破った。 ○…西武先発の石井貴が気迫の投球を披露。一回、先頭の荒木を三振に仕留めてリズムに乗ると、直球主体の投球で四回2死まで無安打に抑えた。五回無死一塁の場面では、渡辺に対して真ん中高めの速球を投げ込む真っ向勝負で三振を奪った。前日(15日)は軽めの調整でリラックスした雰囲気を漂わせていたプロ11年目のベテランは「大役」をしっかりこなし、伊東監督の期待に応えた。 ○…日本シリーズ初出場の西武・中島が四回、左前へ初安打を放った。フルカウントからの7球目、中日のエース川上の内寄り速球に食らいつき、三遊間をしぶとく破った。「何もかもが初めてだけど、普段通りやるだけです。1試合目から打ちたい」と開幕前に話していた中島。得点にこそつながらなかったが、記念に残るうれしいヒットになった。 ○…中日の英智がまさかの落球で2点目を献上した。五回2死一、三塁。西武・フェルナンデスの平凡な右飛を一度はグラブに入れながらこぼしてしまった。二回にも和田の右翼フェンスを直撃した打球のクッションボールの処理を誤り三塁打にする場面も。シーズン中は華麗な守備でチームの窮地を何度も救ってきた英智。守備の名手もシリーズ独特の雰囲気にのまれてしまったようだ。 ○…中日の選手会長、井端が持ち前の堅実な守備で、エース・川上をもり立てた。一回、西武の先頭打者・佐藤の中前に抜けそうな当たりを軽快なフットワークでさばき、シリーズ最初のアウトを記録した。試合前は「全く緊張していません。普段と同じですよ」とリラックスしていた井端。二回無死三塁のピンチでも、中島の遊ゴロに素早く反応し、三塁走者を目でけん制しながら打者走者をアウトにするなど、初の大舞台でも無難なプレーを見せた。 ○…中日の得点をチャンスメークする一、二番の荒木、井端の2人に元気がなくチームが波に乗れなかった。井端は一回に軽快な守備で先発の川上を助けたが、九回に中島の遊ゴロをグラブに当てて失策、攻守に精彩を欠いた。試合前、井端は「普段通りのプレーをするだけ」とグラウンドに飛び出して行ったが、どこか動きがぎこちなかった。
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