Rukeの日記
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2004/06/08(火) リブツ
ふう、第一、第二とも理物で出した。どきどき。

なんかイラクで誘拐された人が自衛隊を派遣したから誘拐されたんだといって国を告訴したとか。うん、今度のシチュエーションで「自己責任」って言葉使っても誤用じゃないぞ。でも、誤用というか日本語として意味が全く取れない(どういう意図で使ったと考えても意味が通らない、ほとんど標語的に使用していたのだろう)用法をあれだけ量産した後だから、正しく使っても説得力ないだろうけど。

日本人の傾向として、絶対の真実がどこかにある等と考えずに、互いの考えを寛容に受け入れてきた。だけどその分、その比較的広い受け入れ可能な範囲からそれでも外れる者に対しては非常に冷淡な所があると思う。たしかに比較的広い範囲の思考が受け入れられるのだけど、それがいつのまにか絶対的な真実として機能してしまっている。日本では絶対観念が激しく衝突した経験が乏しいため絶対観念が形成されやすいのだ。

それに対する傾向として非常に極端なのは、アメリカだろう。そこではいくつもの宗教と民族がひたすらに対立しながら共存してきた歴史がある。それら宗教のうち影響力の大きいものの多くは唯一神を擁している。個人/民族がそれぞれの絶対的な思想を抱えていてそれらはどうしたって相容れないものだ。その上それぞれの民族、それぞれの宗教の信者ですら、彼らが抱えているはずの絶対的真実は容易にはわからない。だからこそアメリカでは真実を人間の営みによって代替する仕組みが発達した。アメリカで笑い話のような起訴がもちあがるたびに我々は彼らの行動を奇異なものとして見るけれど、行動原理が根本的に違うのである。あちらでの起訴は、自分の主張が正しいと思うから起こすのではない。起訴を行わなければ代替的な真実を定める仕組みが誤って働いてしまいかねないから、行うのである。それは義務であり、だからこそ我々からは無茶に見える起訴も権利として法的のみならず社会的に保証されている。それは、どこかに絶対の真実があると個々人が確信しているが故にそこに達することの困難も深く了解しているという状況に立脚しているのである。

この逆説的な構造は非常に面白い。絶対的な真実を端から考えない日本では、人間がいつのまにか勝手に絶対的な真実を形成してしまう。個々人が相容れない絶対観念を持っているアメリカでは絶対的な真実などに何も期待せず思想や主張を対立させて真実を代替させる術を発達させた。

もちろん物事はこのように二極に分かれるものではない。大抵の国は両方の傾向の中間にある。それは日本にしろアメリカにしろ同じなのだが、少なくともこの二つの国は一方は前者に、一方は後者に偏りすぎている。

その結果日本では、思想的に相容れない人間に対しその思想を受け入れずとも立場は承認するということが、政治/制度はともかく個人のレベルでは行われにくい(だからせっかく整備した法/制度もうまく機能しない)。また、立場に立脚した思考というものを嫌う。それは結局、``一般的な思考''を標榜しながら、他者を批判するだけで何も主張しないということに繋がる。政治に対する無関心の一番の根源だ。そして我々がなんといおうと、国際社会においては日本人と日本という国家と日本政府は同一視されるのだということを忘れがちになる。我々は立場に立脚した思考を少なからず受け入れ、また自ら行うべきだろう。

一方アメリカでは、絶対的真実の存在に対する確信とそれに至る事の困難の認識に立脚する代替物であったはずの人為的な真実が、初めのステップが忘れ去られて真実そのものであるかのように振る舞いまた扱われるようになっている。勝てば官軍の論理は、結局の所戦争の根源そのものだ。彼らは真実に対する献身を思い出し、思想をぶつけ合うことのみに頼らない他者の受容を学ぶべきだろう。

#ところでこういう捉え方自体は前から考えていたんだけど、対照的だと思っていた所が意外に対照的ではないなあ。無理やりそれっぽく並べて書いたけど。むしろどんな環境であっても、絶対的な真実という誘惑が捨てがたいというのが共通した構造なのかも。


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