Rukeの日記
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2004/06/05(土) サイキテーリ
忙しさが一段落して、今日は高校時代の悪友どもが集まってどーのこーのだったのだが、それはとりあえず置いておいて、面白いことを思いついたのでひさしぶりのアカデミックモード。

可積分系がどーの、カオスがどーの、の文脈で語られる保存量というものの定義がよく分からなかった。素直に読むと、位相空間上の任意の連続な関数で、同一軌道上の点に対しては同じ値を返すもの、とならざるを得ないのだけどこれはいくらなんでも一般的すぎるように思えたのだ。

対称性が一つあると保存量が一つある、というけれど、すべての保存量に対応する対称性があるとも思えなかった。例えばエネルギーの保存は物理法則が時間に依存しないこと(時刻tに状態sにあった系がt+Tにs'になったとして、時刻t'にsにおくとt'+Tにちゃんとs'になる)の現れだというけれど、物理法則が時間に依存しないでエネルギーが保存しない例というのはすぐに思いつく。高校物理ですら出てくる、速度に比例した抵抗を受ける例
d^2x/dt^2=--dx/dt
なんかそうだ。実際、この例では軌道は単純にもx+v=const.となり無数の平行直線群となる。だから、人為的にはいくらでも保存量を定義できる。こうしてみると、物理法則が時間に依存しない->エネルギーの保存というのは、物理法則がハミルトン形式あるいはハミルトン形式で書かれた上での、つまりいきなり第一積分が見つかった上での話だ。この場合、いきなりハミルトニアンがエネルギーを与えるから、他の保存量ならいざしらず、エネルギーの保存というのは面白い話でもなんでもない。

こんなことを考えていたので、保存量というものは軌道上で一定値をとるような任意の連続関数などという素朴な定義ではすまないのだろうと思っていた。それはまず、普通出てくる保存量は必ず物理的意味付け、特に物理的イメージを持てるような``流れ''を伴うわけだけど、それはどうなるんだ、という重いがあるのだが、最大の根拠は、そのような定義だと自由にいくらでも保存量が作れてしまうという考えだ。つまり、適当な初期状態s1で決まる軌道L1上のすべての点に適当な値a1を振り、s1から少しずれた状態s2で決まる軌道L2上のすべての点にa1から少しずれた値a2を振り・・・と繰り返していけばよい。

しかし、耳に入ってくるカオス関係の話を聞く限りやはりこの素朴な定義が保存量の定義であるようにしか思えない。それでしばらく前に考えたのが、この保存量を作る操作がうまく行かないというのはどのような状況かということだった。

そして、連続の定義を与えるε-δ論法を念頭におきながら考えて、この操作がうまく行かない最も単純な状況として、

・s1のどんな近傍領域をとっても、s1から伸びていった軌道L1が少なくとももう一回貫く

があることを思いついた。つまり、これらの軌道は空間充填曲線となるわけだ。例えば保存量がエネルギーしかない状況とは、たった一本の軌道が、等エネルギー曲面を埋め尽くす状況であり、等エネルギー曲面上のどんな小さな連続領域でも全ての軌道を含んでいる状況なのである。

#これで納得がいったのが、統計力学で、例えば(E,V)を指定したアンサブルを考える時に、状態を用意する具体的な方法についての言及がないこと。状態を用意する具体的な方法は、等(E,V)空間上の様様な分布を与える(あるいはめちゃくちゃな方法を用いれば分布など定義できないかもしれない)わけだが、等(E,V)空間中の特定の一点がE,Vが等しいような全ての軌道を含んでいると言える状況では、そのような分布は何ら意味を持たないわけである。この意味で、巨視変数とは、単に``マクロ系でも見える''変数というだけでなく、もっと本質的な意味で``指定することができる最大限の変数''というわけだ。

ここまではしばらく前に考えたことなんだけど、少し前にはっと気づいたのは、ポアンカレの再帰定理がつまりはこういう意味を持っていたのだということ。エントロピー増大則に対する批判の根拠になったという文脈でしか知らなかったけど、これはなかなか面白い。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040605-00000164-mai-soci
いったい、こういう記事を書く人は何がしたいんだ。ああもう。大手の新聞社が週刊誌ののりで記事を書くな。Winnyの時もIT Mediaがしょうもない記事を出していたけど、こちらは毎日新聞なだけもっとたちが悪い。ああ、ほんとにもう。


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