Rukeの日記
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2004/04/17(土) サイヨー
無事に採用されてしまった。来週の月曜日に16:30から三人まとめて説明を受けることになったので、フクソカンスーロンの授業の第一回に出られないが、働かせてもらう身で文句はいえんだろう。そもそも、散々難波誠さんの本を人に勧めておいて、未だ完読していない自分が悪い。

それにしても、あの本を、受講者のほとんどが所持することになるのだろうが、その状況は中々すごい状況だ。。。
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文芸部の新歓。オリにやってきて驚いた高校時代の同級生がまた来てくれた。学校で会っていないので結構久し振りな気がしたけれど、オリから一週間程度しか経ってないんだなあ。学校が始まると時間が随分と長く流れ出す。大体、授業を聞いている時間というのは、自分の人生とは別時空での時間なのだ。

清水明先生の「量子論の基礎」という本が版を改めた上に単行本になったそうだ。
http://www.saiensu.co.jp/books-htm/ISBN4-7819-1062-9.htm
で、これを見て驚いたのが、この本に場の量子論が少しだけでも含まれていたこと。今回章を追加したのかと思って持っているムック版のほうを見ると、ちゃんとそういう章がある。

量子論の本質は、非決定論的だとか離散的だとか非実在論だとかでは全然ない。重要なことは、今まで我々は(位置x,運動量p)でもって一つの粒子の物理状態を完全に指定することができると考えていたがそれは違っていて、これでは全然足りなかったのだ、という事実。

そして粒子の状態を表す変数を

・我々が今まで使っていた位置という変数が取りうる値を以ってラベルを振ることができる(そこでこれらの変数を{ψ_x}と表す)
・我々が位置を測定しているのだと思っていた行為のうち特に理想的なものを行うと変数ψ_xの絶対値が値xが得られる確率を表している

が満たされるようにうまくとることができるという事実。

#ここで理想的とは、測定を行った直後に測定を行うと同じ値が得られる、という意味。誤差がない、と捉えるのは良いが、実験操作が厳密でないことによる誤差とは区別しなければいけない。

このように、「波と粒子の二重性」「測定するまで存在しない」「離散化される」「物理量が何故か演算子になる」等といった歴史的経緯から頻繁に述べられている曖昧な言説を経由せずに、まず初めに量子論の理論形式を学んだ僕にとって、古典場に対応する量子系として一番初めに頭に浮かぶものは以下のようなものだ。スカラ場を例とする

古典的なスカラ場φとは、空間上の位置xに値φ(x)がなんらかの形で存在し特定の法則にしたがって変化する。ベクトル解析等の数学を使う関係でこれは関数の記法φ(x)と書かれるが、ここでは議論が分かりにくくなるので、φ_xと書く。すなわち、空間上の各点に一つずつ変数が存在している。

粒子の場合とのアナロジーで、これでは変数が全然足りないのではないかという疑いが浮かぶ。つまりもっと変数が必要なのであろうと考えられ、うまく変数を選ぶと
・x及び我々が今まで使っていた変数φ_xが取りうる値を以ってラベリングができる。すなわちψ_(φ,x)と書ける
・(あるxに対して)我々がφ_xを測定しているのだと思っていた行為のうち特に理想的なものを行うと変数ψ_(φ,x)の絶対値が値φが得られる確率を表している
を満たすようにできる。

ところが、ワインバーグの本の先の方を眺めるとどうやらこのような単純な話ではないように思えた。。。のだが、

今改めて清水先生の本を読んでみると確かに僕が考えた通りのことが書いてある。そろそろずっと放っておいたこの本の後半部分を本腰入れて読むべきかもしれない。そういえば、ベルの不等式の話もほうっておいたままだ。

現在のように量子論の理論形式が明快な形で書かれれば、測定を扱う射影仮説については
・測定される系と測定器とをあわせて考えた全体系がハミルトニアンによって時間発展する時に現れる特殊な現象
として説明されるだろう、と考えるのが自然だ。事実現在では多くの研究者がそのように考えて、測定問題というものは昔ほど注目されていないそうだ。しかし実は、フォン・ノイマンの段階で、ハミルトニアンによるユニタリ発展をどういじくろうと、射影仮説がしゅちょうするような激しい変化は説明できないことが認識されていた(だからこそフォン・ノイマンは測定の過程をハミルトニアンによる時間発展の過程とは全く違うものだと考えこれを量子論の基本的要請の一つとして採用した)そうだ。だとすると、ハミルトニアンによるユニタリ発展のみに着目して測定の問題を忘れ去るのは物理的になんら正当化されず、単に目をつぶっているだけということになるだろう。

量子論は非局所的な性格を持つ、と言われる。これはシュレディンガー方程式
idψ/dt=Hψ
を指しているのだと思っていた。しかし実際のHは例えば正準量子化が通用するならd/dxとV(x)の組み合わせであって、あるxに対してψ(x)のちょっと先の値は、ψ(x)の近くの状況だけで決まる。量子論の非局所的な性格は実は、射影仮説が主張する激しい状態ベクトルの変化にあるらしい。このことをちゃんと理解するにはやはりベルの不等式の周辺の議論をさらってみるべきなのだろう。


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