Rukeの日記
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2004/02/09(月) シューリョー
δNはSに示量性を満たさせるような項であることがわかった。するとδNには何らかの条件が要請されるように見える。しかし以上の議論は、現実の区別できる粒子の理想気体を用いてどんなに努力しても永久機関が作れず、どうやら熱力学に従うようだと結論し、それを受けて「熱力学に従うならSは示量性量であるはずだから〜」と考えたわけではない。繰り返すが、思考実験の矛盾は思考によってのみ解決すべきである。

つまり、熱力学がδNになんらかの条件を要請するのではなく、何か巨視系を作るとδNが自動的にE,V,N,N'の関数となる。このδNを経由して状態を数えてSを計算すれば、これは状態の数(位相空間体積)の対数であるが故に必ず加法性を満たしひいては示量性を持つ。これがストーリーの全てである。

従って、δNを直接計算することを試みることができる。今系の状態が(E,V,<N>,N')であるならば、あるひとつの粒子がこの系に現れる確率は<N>/N'である。従って、Nは二項分布になり、δN=N' N/N' (1-N/N')となり昨日の計算でδNに代入してもエントロピーは示量性を持たない。しかしこのグラフとかをつらつら考えていて思い当たることがある。

実は、W=dΩ/dE δE δN=ΩδNが満たされるには、Nの分布が鋭いピークを持っていなければいけない。そしてそれを満たすにはN'>>NまたはN'〜Nでなければいけない。

一般論として統計力学を適用する場合は、E,V,Nが十分大きいことのみ仮定すればよいが、巨視系特有の分布が極端に偏っている特徴を用いた計算をするにはN'>>NまたはN'〜Nの条件が要るということだ。

結局一般論として、区別できる粒子の理想気体は示量性量であるエンロピーを必ず持つはずである、というところまでしか言えず、その具体的な形を全領域で求めることは困難であるようだ。
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ちなみに、ちゃんと計算するとN'>>NおよびN'〜Nの時のみ
Ω=N'!/N!(N'-N)! A^N V^N E^(3N/2) 1/Γ(3N/2+1) N' N/N' (1-N/N')
である。ただしAは定数 それぞれ
N'>>Nの時
Ω=N/N! A^N V^N E^(3N/2) 1/Γ(3N/2+1)
lnΩ=N(ln(V/N)+ 3/2 ln(E/N) + 3/2 ln(4mπ/3) -3ln(h) +5/2)
これは示量性を持つ。
一方N'〜Nの時(ただしN'-N>>1)
Ω=(N'-N)/(N'-N)! A^N V^N E^(3N/2) 1/Γ(3N/2+1)
lnΩ=N(ln(V)+ 3/2 ln(E/N) + 3/2 ln(4mπ/3) -3ln(h) +3/2)-N'-N)ln(N'-N)
であるが、これは示量性を示さない。これは当然で、N=N'/2程度で既に二項分布のグラフはとてもピークとは言えないほどの広がりを持つ。つまり、N'〜Nの系を二つのN'〜Nな部分系に分けることはできない。可能なのはN'>>Nの部分系とN'〜Nの部分系に分けることでこの場合は示量性を満たすことが確認できる。

この最後の項はN->N'で発散しそうに見えるが、N'-N<1くらいになると粒子数が離散的であるという効果が現れる。すなわちδN=N(N'-N)->0であるが、状態数Ωはちゃんと有意な値を持つ。それは結局、N!で割らなかった場合の値で
Ω=A^N V^N E^(3N/2) 1/Γ(3N/2+1)
lnΩ=N(ln(V)+ 3/2 ln(E/N) + 3/2 ln(4mπ/3) -3ln(h) +3/2)

である。ここに現れたlnΩはN'>>Nの場合以外は全て示量性を示さないように見えるが、それは全ての領域で成り立つ式ではないからである。実際にはこれらを滑らかに繋ぐエントロピーSが存在して、それは示量性を持つはずである。

こんな感じで解決かな?
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昨日の一段落目の後に以下の内容追加(2500字オーバーのため)
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考えてみると、先ほどの失敗は「部分系を考えて加法性を用いようとして失敗した」というよりは「部分系を考えることができなかった」ということである。つまり、我々の手持ちの熱力学変数では部分系の状態を記述できないのである。
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ところでこれは、区別できる粒子浴に浸かっている区別できる粒子系は、区別できない粒子系と巨視的には区別できないということを意味するようだ。すると、グランドカノニカル分布を用いた計算は両者では変わらない->全て変わらない!?もういーや。電磁気勉強しよ。


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