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2004/12/19(日)
ゾクゾク
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9.加法定理と多重極展開 電位の測定位置をx,電荷分布の上を走る変数をx'とする。それぞれ極座標で(r,θ,φ),(r',θ',φ')とし、r>r'とする。xとx'のなす角をχとする時、先の母関数展開より 1/|x-x'|=1/(r sqrt(1+(r'/r)^2-2cosχr'/r)) =1/r Σ P_n(cosχ)(r'/r)^n であるから、(クーロン定数を省略して) φ=∫ρ(x')/|x-x'| dV =1/rΣ 1/r^n ∫ρ(x')r'^n P_n(cosχ)dV' となる。そこでP_n(cosχ)の球面調和関数展開を求めたくなる。つまり、P_n(cosχ)=Σa_m,n'(θ',φ')Y_m,n'(θ,φ)と表したい。a_m,n'=∫P_n(cosχ)Y*_m,n'(θ,φ)sinθdθdφを求める。
今、x'を固定し、x'方向を極とする新らしい極座標(η,χ,λ)を取ると、ラプラシアンの結果はどの座標系でも変わらないから、Y*_m,n'=Y_(-m),nは(η,χ,λ)で表したラプラシアンに対する固有値-n'(n'+1)の固有関数である。故にY*_m,n'(θ,φ)はY_m',n'(χ、λ)(m'=-n to n)の線形結合で表される。直交性よりn'=nの時のみa_m,n'は0でない。その場合に Y*_m,n(θ,φ)=Σ(m'=-n to n)A_m' Y_m',n(χ,λ) とおけば、直交性より a_m,n=sqrt(4π/(2n+1)) A_0 である。ここでの展開とは、大局的な変換であり、普通係数は積分を行なわなければ求まらない。ところが、先の漸化式及びロドリゲスの式よりP_0,n(1)=1,P_m,n(1)=0(|m|>0)であるから、A_0はラッキーな事に極での値を見るだけで分かり(これは展開が有限項であるために成り立つ。)A_0=sqrt(4π/(2n+1)) Y*_m,n(θ',φ')である。
こうして、加法定理 P_n(cosχ)=4π/(2n+1)Σ(m=0 to n) Y*_m,n(θ',φ')Y_m,n(θ,φ) を得、点電荷の作る電位の多重極展開 φ(x)=1/r Σ_n 4π/(2n+1) 1/r^n Σ_m Y_m,n(θ,φ)∫ρ(x')Y*_m,n(θ',φ')r'^n dV' を得る。
ここまで準備すれば、φとして多重極展開に-Ercosθを足した物を考えてr=a(球の半径)で電位一定という境界条件から直ちに、電位の球面調和関数展開の係数と電荷分布の球面調和関数展開の係数が定まる。
また、ルジャンドル多項式の性質として、上にあげた漸化式からP_n(1)=1,P_n(-1)=(-1)-n,P_n(-x)=(-1)^nP_n(x)等の代表的な性質が分かる。また[-1,1]に相異なるn個の零点を持つことは(x^2-1)^nのx=1,-1がn重根である事から、ロルの定理を繰り返す、あるいは、[-1,1]にあるP_n(x)の符号が変わる点をx_k(k=1,2,,,l)としてQ(x)=(x-x_1)...(x-x_l)としてP_n(x)Q(x)は[-1,1]で符号を変えないから直交せず、Q(x)はn次多項式として議論する。また、1/sqrt(1-2tcosθ+t^2)=1/sqrt(1-texp(iθ)) 1/sqrt(1-texp(-iθ))を1/sqrt(1+x)のテイラー展開を用いてフーリエ級数の形にすると、P_n(cosθ)=Σ(k=0 to n) 正の実数 exp(i(2k-n)θ)となり、その絶対値は位相が揃うθ=0,πで最大(つまり1が最大)と分かる。
大体こんな感じで、@、Aを認めれば、完全に初等的かつ単純明瞭かつ(@、A以外)厳密に、球面調和関数と極座標での多重極展開が導入できるぜい、って思ったんだけど、時間がかかりすぎた。それでめちゃくちゃ急いで、黒板に向かって書きまくるだけだったし。時間がないからと急ぐと却って時間を無駄にすることになる。。。数えてみて、10項目くらいに整理できるから、おー、なんて単純明快、って思ったんだけど、それって、一項目5分でも1時間くらいかかるんだよね。まあいいや、自分にとっての整理になったし。特に、量子力学での利用にはこの議論で完全に十分で、確か加法定理には角運動量の合成という意味があったから、なかなか悪くない。
後、細かい項目として、ルジャンドル多項式のノルムについては、部分積分を繰り返すだけだから初等的ではあるけれど、とても明瞭とは言えない。ここは拘る意味のないところだけど、うまい方法があったら知りたい。 ---------------------------------------- この間の個人指導のバイトでは、ひとつ前の席で微分方程式とかラプラス変換とか教えてるし、自分の生徒には鳩の巣原理とか、logの凸性を使った相加相乗平均の不等式の証明とか教えているし、異常だった。私立高校すげー。 ---------------------------------------- そんなこんなでハードな一週間だった。
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