Rukeの日記
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2004/12/29(水) カンセーケーゾク
そして慣性系を導入する基本的な発想は、運動方程式の右辺が「原因に因って生じる」と見なしたい、従って、運動を引き起こす原因となりそうな物を排除していくと右辺は0になるだろうという物だ。ここで運動方程式の右辺が0になるとは
dx/dt=v
dv/dt=a
において、aが0になるという意味である。dx/dtは常にもう一つの状態変数vで与えられる。しかしvの時間変化dv/dt=aについては、状況によって様様に変化する。従って、運動状態が変化しないとは、vが変化しないう意味付けをするのが自然であり、従って、運動を引き起こす原因を断ち切った結果、vは変化しなくなるだろうと期待するのである。

ところがこれは一般にはなりたたない。そこで、それは位置の測定装置(だだっ広い方眼紙)自身の、運動を引き起こす原因からの断ち切りが不十分であったのだろうと考え、位置の測定装置に対して運動を引き起こし得る原因を排除すれば、その状況で物体に対し運動を引き起こし得る原因を排除すると運動方程式の右辺が0になるようになっているのではないかと期待するのである。この期待が実際に成り立ったとき、我々はこの測定方法を慣性系と呼ぶのである。すると慣性系においては、運動方程式の右辺を真に運動の原因と見なすことができるであろう。従って、我々は慣性系における運動方程式の右辺に関する知識を整理し、それを物理法則で呼ぶことを当面の力学の基本方針とするべきであるということになる。また、運動、静止とは元来相対的なものであるが、ここにいたって、慣性系をある絶対的な意味で「静止している」と見なし、非慣性系をある絶対的な意味で「運動している」と見なすことが正当化される。そこで、非慣性系において運動の原因となり得る物を全て排除した後に運動方程式の右辺に現れた加速度は系の運動による物と考え、世界の持つ性質とは切り離して数学的に処理すべきであろう。
#この後、平行四辺形の法則や慣性質量と作用反作用の法則を導入して運動方程式の右辺に関する知識を整理する際に「力」を導入すると便利であるとし、系の運動による加速度の「力」による表現と整合的な表現として「慣性力」を導入する。

さて、以上の議論はたくさんの問題をはらんでいる事に注意しよう。最大の問題は、我々はこれから物理法則を明らかにしようとしているのであるから、この段階では運動の原因をどのようにすれば断ち切れるのか皆目わからないということだ。それだけでなく、このプロセスは完全に仮想的な物であり、そのあらゆるステップは、実際に実行する事が著しく困難である。実際、物理学が後に遠隔力や場の考え方を導入せざるを得ないことを考えれば、それは不可能である。測定装置と対称との相互作用の問題もある。

従って我々は、慣性系の存在を仮定し、その下で世界が確かに記述できるという事のみを以ってそれを正当化せざるを得ない。

2004/12/28(火) カンセーケー
下らないことだけど、
m d^2x/dt^2=f
で、x'=x-vtとおくと
m d^2x/dt^2=f
となる。これは、純粋に形式的な計算だ。この意味で、慣性系を「慣性の法則が成り立つ」という性質のみで特徴づけるならば、ガリレイ変換は、全く形式的に導入される(つまり相対性理論だとかニュートン力学だとか関係ない)。この事は本当につまらない話なんだけど、たぶん、余り認識されていない。

双子のパラドクスについて調べてみると、「地球から見たロケットの運動と、ロケットから見た地球の運動は同じであるのに、一方は等速運動でありもう一方は加速度運動であるとするのはおかしい」というような主張があるようだ。この下であらゆる「双子のパラドクスの解決」を、結論を仮定しているのだから循環論法だ、地球が慣性系で、ロケットは加速度運動をしているのだと初めから仮定するのならば矛盾が生じないのは当然だ、として批判するという。これは非常に興味深い。なぜならばこれはもはや相対性理論に固有の問題提起ではなくなっているからだ。
http://www.infonia.ne.jp/~l-cosmos/relativity/twins/TwinParadox.html
(このサイト自体はそのような主張を紹介した上で批判しているサイト。しかし、加速度運動は全て重力現象であるというとんでもない勘違いをしている。)

双子のパラドクスに限らずほとんどの相対論のパラドクスは「相対的なんだったら、時間が遅れるとか棒が延びるとかいう事が起きるのはおかしいじゃん」という非常に短絡的な思考を土壌としている。従ってそれらは(日常言語だけで相対性理論を説明しようとする啓蒙書はともかくとして)、何だかんだで三秒で説明できる物だ。それでもこのようなパラドクスにすがり付こうとすれば、結局、自ら、その勘違いの根源を直接的に露出させざるを得ないのだろう。

そもそも一部の大真面目でパラドクスを議論する科学哲学者はともかくとして、いわゆる擬似科学の本や記事を記述するような人には、売れないサイエンスライターの類が多い。そもそも科学には普遍性(十分に頑張れば(既に枯れた部分に関しては)誰にでも理解できる)がある故に、単に科学を理解してそれを解説できるというだけでは、ライターとしてのアドバンテージに乏しいのだろう。つまり、この手の記事を書くライターの中には、きちんとした理解を持っている人が意外に多い(という印象を受ける)。その上、この手のパラドクスはもはや新鮮味に欠けるネタだ。だから、相対性理論のちゃんとした入門書で、コラム的に触れられ、三行で論破されるような形のパラドクスに留めずに、何度かの批判-反論のプロセスを繰り返した形で記事にしなければいけないのだろう。つまり、このようなライターは、パラドクス記事を書くと、自分で批判をすぐに思いつき、読者はこれでは許してくれないだろうと、自分でその批判に対する反論をでっちあげ、しかしその穴を自分で明確に認識してしまい…という泥沼にはまり、結果、パラドクスの根底にある本質的な勘違いを抽出してしまうのだ。パラドクスに対する考察は、ちゃんとした物理の教科書よりも、トンデモ本、疑似科学本の方がむしろ進んでいる。最近のこの手の本は、自らの手でパラドクスの主張の本質的な部分を抽出する所まで辿り着いているのだ。

#僕は、熱力学の第二法則は間違っている、という特集記事で、ライターがせっかく一生懸命あれやこれやを書いているのに、コラム記事で、「そもそも孤立系は存在しないじゃないか」という主張が行われているのを見たことがある。その正当性以前に、その主張が成り立つのならば熱力学第二法則に対する反論はそれだけで済み、特集記事を書いたライターの労力が完全に無駄になってしまう。これには大笑いした。そしてもちろん、熱力学の第二法則が孤立系に関する特別な場合でしかかかれないという点こそは、熱力学の第二法則の広く流布している日常言語的な説明の本質的な問題点だ。

そしてこうやって、双子のパラドクスで何が問題となっているのか、というその本質的な部分が明らかになると、驚くべきことにそれは、もはや相対性理論に固有の問題ではなくなっているのだ。

物理で相対性と言った場合、それは「電車から見ると駅が動いているが、駅から見ると電車が動いている」という現象の叙述に関する当たり前の話ではなく、物理法則に関する物だ。パラドクスの根底にあるのはこの点の勘違いであり、それ故、「何が等速度運動で何が加速度運動なのかどうやって決めるんだ」という批判は、慣性系とガリレイ変換に基づく理論であるニュートン力学においても可能なのである。

従って、正しく理解しない事はもちろんどんな場合でも罪ではないが、相対性理論のパラドクスに対し「そんな疑問はニュートン力学の段階で解決しておけ」と怒る事は正当だ。しかしまた逆に、ニュートン力学の教科書は、このような疑問が正しく解決されるよう、慣性系を「見出される」物として慎重な記述によって導入するべきだろう。ほとんどの教科書は、慣性系の導入に無造作すぎる。

2004/12/26(日) ニク
親の提案で結構高いしゃぶしゃぶ食べ放題の店へ。成人式にどうせ出ないので、その代わりだそうで。野菜と豆腐とタレが美味い美味い。逆に、霜降りの牛というものを初めて食べたけど、これは美味しくしようとして美味しくした感じが露骨すぎると思う。まあともかくご馳走様でした。

はあ、これでまた太ったな。最近肋骨の上の肉が掴める。。。

2004/12/25(土) キノウ
昨日はバイトに行って、何故かテイラー展開を教えて。
大学まで本を返しに行って。親に頼まれたケーキを買って。
その途中石焼ビビンバの吉野家形式のファーストフード店みたいなのを発見。ふ〜ん、こんなのがあるんだ、とついつい食してしまった。420円で石焼ビビンバキムチが食べれる。かなり早く出てきて量も標準的。悪くない。

http://www.herald.co.jp/official/accidental_spy/index.shtml
アクシデンタル・スパイを見た。ジャッキー・チェンの蹴りがちゃんと痛そうに見えるのが新鮮だった。
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無料で使えるアンチウイルスソフトのAVGがバージョンアップして、Outlook Express以外のメーラでもメールのウイルスチェックができるようになった。SMTPやPOP3の通信を監視しているよう。というか、メールの送受信はプロトコルがきちんと定められているのだから、このようなメーラ非依存の仕組みの方が簡単だと思うのだけど…。まあとにかく少しだけ安心感が増した。
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今使っているファンヒータは、通常モードで使うと恐らくは温度センサが急速に加熱されるのだろう、十分に部屋が温まることなく頭の良いマイコン様の制御によって自動的に停止してしまう。一方、微燃焼(美年少って出たよ、すごいなIME)モードにすると、22℃の温度設定でも、すぐに部屋全体が暑いくらいになる。世の神秘だ。

2004/12/23(木) マヤユタカ
何となく本屋にいったら、麻耶 雄嵩の新刊?
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/434400664X/250-8225096-1273005
と思ったら、発行日がだいぶ前。そういえば水瀬さんがそんな事を言っていた。。。すっかり忘れていた。

それにしてもハードカバーは重い、高い。

2004/12/22(水) ストゥーディオ
スパイダーマン2、おもしれー。
主人公は好きになれないけど、とにかく動きがよい。内力による変形に伴う超加速。なかなか普段経験することのできないカンセーモーメントをここまで実感させるとは。

核融合を川に沈めてめでたしめでたし、はアレだけど、ヒーロー物としてちぐはぐにならない感じで、設定が非常にリアルだし。スパイダーマンも、敵も、強すぎず弱すぎず。
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先週の木曜日に購入したVisual Studio .NET the Spoke Premium(学生専用のくそ安いやつ)のライセンス認証がやっと完了した。いやー、個人情報が通貨代わりとは良い時代になったものだ。

高度な付加価値を持った統合開発環境は当面必要ではないのだけど、少なくともWindowsでの開発は開発環境に依存する部分が大きく、最近ではSourceForge.netなどでオープンソース体制をとるプロジェクトが増えてきたのに、visual C++のプロジェクトとして配布されているソースについては(よほど標準的なプログラミングしかしていないのでない限り)、gcc等のフリーの環境では関連するライブラリを導入する度にいちいち問題がおき、ビルドすらままならない。特にC++ではオブジェクトファイル中のシンボル名や内部表現に関する統一がとれていないため、ソースを同時に配布する文化のないWindowsでは、例えオープンソースのプロジェクトであっても、使用しているライブラリのgcc用のライブラリファイルがない事が死活問題となる。

プログラミングなど、もはやJavaさえあれば十分という気にはなっているのだけれど、unix系でいうmakeファイル的な存在にVisual C++のプロジェクトファイルがなってしまっている今、単にビルド環境としてVisual Studioはもっておきたいとは常々思っていた。

特にDonut系タブブラウザとGeoShellはソースをビルドできるようにしておきたい。これらは、自分のPCの環境の根幹をなしているからだ。

しかしこの目的で導入した割には、プロジェクトファイル一発でビルド、というのにはなかなか程遠かった。Visual C++ 6.0のプロジェクトを一発でビルドできないのには腹が立つ。まあこれはmakeにしても同じ事で、オブジェクト指向が後付けになってしまっていて、コンパイルの過程が未だにテキストファイル処理になってしまっているC++自身の本質的な問題ではあるのだろうけど。特にプリプロセッサなんて言語道断。だれが考えたんだ、全く。

てわけでめちゃくちゃ苦労したけど、GeoShellとGLUIと、自分が昔作ったGlFlag(あらためて見るとコードがぐちゃぐちゃで嫌になる)のビルドはできるようになった。

2004/12/19(日) ゾクゾク
9.加法定理と多重極展開
電位の測定位置をx,電荷分布の上を走る変数をx'とする。それぞれ極座標で(r,θ,φ),(r',θ',φ')とし、r>r'とする。xとx'のなす角をχとする時、先の母関数展開より
1/|x-x'|=1/(r sqrt(1+(r'/r)^2-2cosχr'/r))
=1/r Σ P_n(cosχ)(r'/r)^n
であるから、(クーロン定数を省略して)
φ=∫ρ(x')/|x-x'| dV
=1/rΣ 1/r^n ∫ρ(x')r'^n P_n(cosχ)dV'
となる。そこでP_n(cosχ)の球面調和関数展開を求めたくなる。つまり、P_n(cosχ)=Σa_m,n'(θ',φ')Y_m,n'(θ,φ)と表したい。a_m,n'=∫P_n(cosχ)Y*_m,n'(θ,φ)sinθdθdφを求める。

今、x'を固定し、x'方向を極とする新らしい極座標(η,χ,λ)を取ると、ラプラシアンの結果はどの座標系でも変わらないから、Y*_m,n'=Y_(-m),nは(η,χ,λ)で表したラプラシアンに対する固有値-n'(n'+1)の固有関数である。故にY*_m,n'(θ,φ)はY_m',n'(χ、λ)(m'=-n to n)の線形結合で表される。直交性よりn'=nの時のみa_m,n'は0でない。その場合に
Y*_m,n(θ,φ)=Σ(m'=-n to n)A_m' Y_m',n(χ,λ)
とおけば、直交性より
a_m,n=sqrt(4π/(2n+1)) A_0
である。ここでの展開とは、大局的な変換であり、普通係数は積分を行なわなければ求まらない。ところが、先の漸化式及びロドリゲスの式よりP_0,n(1)=1,P_m,n(1)=0(|m|>0)であるから、A_0はラッキーな事に極での値を見るだけで分かり(これは展開が有限項であるために成り立つ。)A_0=sqrt(4π/(2n+1)) Y*_m,n(θ',φ')である。

こうして、加法定理
P_n(cosχ)=4π/(2n+1)Σ(m=0 to n) Y*_m,n(θ',φ')Y_m,n(θ,φ)
を得、点電荷の作る電位の多重極展開
φ(x)=1/r Σ_n 4π/(2n+1) 1/r^n Σ_m Y_m,n(θ,φ)∫ρ(x')Y*_m,n(θ',φ')r'^n dV'
を得る。

ここまで準備すれば、φとして多重極展開に-Ercosθを足した物を考えてr=a(球の半径)で電位一定という境界条件から直ちに、電位の球面調和関数展開の係数と電荷分布の球面調和関数展開の係数が定まる。

また、ルジャンドル多項式の性質として、上にあげた漸化式からP_n(1)=1,P_n(-1)=(-1)-n,P_n(-x)=(-1)^nP_n(x)等の代表的な性質が分かる。また[-1,1]に相異なるn個の零点を持つことは(x^2-1)^nのx=1,-1がn重根である事から、ロルの定理を繰り返す、あるいは、[-1,1]にあるP_n(x)の符号が変わる点をx_k(k=1,2,,,l)としてQ(x)=(x-x_1)...(x-x_l)としてP_n(x)Q(x)は[-1,1]で符号を変えないから直交せず、Q(x)はn次多項式として議論する。また、1/sqrt(1-2tcosθ+t^2)=1/sqrt(1-texp(iθ)) 1/sqrt(1-texp(-iθ))を1/sqrt(1+x)のテイラー展開を用いてフーリエ級数の形にすると、P_n(cosθ)=Σ(k=0 to n) 正の実数 exp(i(2k-n)θ)となり、その絶対値は位相が揃うθ=0,πで最大(つまり1が最大)と分かる。

大体こんな感じで、@、Aを認めれば、完全に初等的かつ単純明瞭かつ(@、A以外)厳密に、球面調和関数と極座標での多重極展開が導入できるぜい、って思ったんだけど、時間がかかりすぎた。それでめちゃくちゃ急いで、黒板に向かって書きまくるだけだったし。時間がないからと急ぐと却って時間を無駄にすることになる。。。数えてみて、10項目くらいに整理できるから、おー、なんて単純明快、って思ったんだけど、それって、一項目5分でも1時間くらいかかるんだよね。まあいいや、自分にとっての整理になったし。特に、量子力学での利用にはこの議論で完全に十分で、確か加法定理には角運動量の合成という意味があったから、なかなか悪くない。

後、細かい項目として、ルジャンドル多項式のノルムについては、部分積分を繰り返すだけだから初等的ではあるけれど、とても明瞭とは言えない。ここは拘る意味のないところだけど、うまい方法があったら知りたい。
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この間の個人指導のバイトでは、ひとつ前の席で微分方程式とかラプラス変換とか教えてるし、自分の生徒には鳩の巣原理とか、logの凸性を使った相加相乗平均の不等式の証明とか教えているし、異常だった。私立高校すげー。
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そんなこんなでハードな一週間だった。

2004/12/18(土) ゾク
実際には以下のような構成を考えた。

1.
△_φ=(∂/∂φ)^2
△_θφ=((sinθ∂/∂θ)^2+(∂/∂φ)^2)/sin^2θ
△=(∂/∂r(r^2∂/∂r)+((sinθ∂/∂θ)^2+(∂/∂φ)^2)/sin^2θ)/r^2
はそれぞれ自己共役である(これらは量子力学でL_z^2,L^2,自由粒子のハミルトニアンに対応するから、この証明は直交座標に戻してこれらをx,i∂/∂x等で書き表すのが良い。)。そこで、この順に固有関数系を構成するのが簡単であろう。

2.△_φの固有関数系
φの関数とは、[0,2π]上の周期関数であるから、フーリエ変換の議論等で良く知っているように、exp(imφ)(m=,,,-2,-1,0,1,2,,,)にとればよい。固有値は-m^2

3.△_θφの固有関数系

2.より(θを固定して展開することを考えて)任意のθ、φの関数f(θ,φ)はf=Σf_m(θ)exp(imφ)と書ける。これを固有方程式△_θφ f=λfに代入してexp(imφ)の係数を見ると、f_m(θ)exp(imφ)自身が固有関数であることがわかる。そしてx=cosθと置く事でf_m(θ)(をx=cosθの関数と見た物)が満たす方程式としてルジャンドルの陪微分方程式

[d/dx(1-x^2)d/dx-(m^2/(1-x^2)+λ)]f_m=0

が出現する。

4.m=0の場合

m=0の場合
[d/dx(1-x^2)d/dx-λ]f=0(ルジャンドルの微分方程式)
となるが、n次多項式を左辺に代入するとやはりn次の多項式となる。n次多項式は定数倍を除けばn-1個のパラメタで決まり、λを含めてn個のパラメタとなるから、各次数の項の係数を0と置く事で、λとn次多項式(定数倍の不定性を除く)が一意に決まってしまう。そして0次からn次までの多項式の線形結合でx^nが作れるから@より、これらの多項式は関数空間の基底をなすことがわかる。故にこれらを以って固有関数系とすればよい。なお、左辺のx^nの項にはfのx^nの項しか関係ない。左辺のx^nの項の係数よりλ=-n(n+1)が分かる。ルジャンドルの微分方程式のn次多項式解をP_0,nとする。(定数倍の不定性は後で母関数との兼ね合いで決める)。

5.一般のmの場合

n>=|m|としてルジャンドルの方程式を|m|回微分してP_m,n=(1-x^2)^(|m|/2)d^|m|P_0,n/dx^|m|と置くと、これがルジャンドルの陪微分方程式を満たすことが分かる。ところで、P_m,nは(sinθ)^m(xののn-|m|次多項式)の形をしている。単位球面上でx=sinθcosφ,y=sinθsinφ,z=cosθでありフーリエ変換を念頭におけば、x^i y^j z^k(i+j=m,i+j+k=n)はcos^(n-m)sin^mΣ_(k=-m to m)a_k exp(ikφ)と書ける。これから逆に任意の関数のexp(imφ)の係数を考えると、それが、sin^mθ・(θの任意の関数)となる事がわかる。故に、P_m,nは関数空間{f(θ)exp(imφ)}において基底をなす。

6.母関数とロドリゲスの公式

g(t,x)=sqrt((1-2tx+t^2))を|x|<=1,0<=t<1においてテイラー展開し、そのt^nの係数をP_n(x)と置く。また、z=(x^2-1)^nを二項展開し、n回微分する。すると、P_n(x)=(d^n/dx^n)(x^2-1)^n/(2^n n!)が分かる。このP_n(x)はn次多項式であるが実は先のP_0,n(x)である事を示す。それには、∂g/∂t=g (x-t)/(1-2tx+t^2)や、∂g/∂x=g t/(1-2tx+t^2)から、(1-2tx+t^2)∂g/∂t-(x-t)g=0,(1-2tx+t^2)∂g/∂x-tg=0を得、それぞれにgの級数展開を代入することでP_n及びその導関数に関する漸化式(ここは結構大変)
(n+1)P_(n+1)-(2n+1)xP_n+nP_(n-1)=0
P_(n-1)=(x-(x^2-1)/n d/dx)P_n
P_(n+1)=(x+(x^2-1)/(n+1) d/dx)P_n
を得、下の二式よりP_n(x)=(x+(x^2-1)/n d/dx)(x-(x^2-1)/n d/dx)P_nであり、これを計算するとルジャンドルの微分方程式となる。

7.直交関係、球面調和関数の導入
P_m,nはm,nが一方でも異なれば直交する。自身との内積は部分積分を頑張って繰り返すことで
∫_(-1 to 1) P_m,n(x)P_m,n(x)dx=∫_(0 to π)P_m,n(cosθ)P_m,n(cosθ)sinθdθ=2(n+|m|)!/(2n+1)(n-|m|)!
である。そこで正規化された固有関数系として球面調和関数
Y_m,n(θ,φ)=sqrt((2n+1)(n-|m|)!/4π(n+|m|)!)P_m,n(cosθ)exp(imφ)
を導入する。

8.ラプラス方程式の一般解
φ(r,θ,φ)=ΣR_m,n(r)Y_m,n(θ,φ)とおき、ラプラス方程式に代入すれば各m,nについて
(d/dr r^2 d/dr -n(n+1))R_m,n(r)=0
を得る。二階の常微分方程式だから独立な解が二つ見つかればよい。r^n,r^(-n-1)が見つかり、
φ=Σ(A_m,n r^n+B_m,n r^(-n-1))Y_m,n(θ,φ)
が一般解。ところが、このr^(-n-1)の項は、多重極展開っぽい。

2004/12/17(金) エンシュー
木曜日の演習は結構失敗してしまった。

これは、軸対称性を持つラプラス方程式の一般解を求め、さらに一様な電場中におかれた電荷Qを帯びた導体球の表面での電荷分布を求めろという問題だ。全く同様の問題が太田先生の電磁気の教科書に載っていたんだけどそこでの説明が気に食わなかった。それは、電荷分布の作る電位を多重極展開しているんだけど、
http://hagi.k.u-tokyo.ac.jp/~mio/note/elemag/specialf.pdf
この文書でいう(2)の展開までしか行なわず、(3)を行なっていないため、電位はすぐ決定する物の、電荷分布を決定するのにストレートではない手順を踏んでいる。電荷分布のある球面調和関数成分が、電位の同じ球面調和関数成分を作るというこの対称性はグリーン関数の対称性とも関連するうれしい性質だろう。つまり多重極展開を完全に行なえば、全ては完全に係数比較だけで済む。電位も電荷分布も二秒で求まる。

だけれど、せっかく軸対象なのだから、ルジャンドル多項式だけで議論を完結させたいのも事実だ。拘りがあって軸対称な場合に限らない一般的な議論を行いたいというならともかく、単に球面調和関数の加法定理を用いるためだけに球面調和関数を導入するというのもオーバースペックな感じだ。軸対称な場合のラプラス方程式の一般解の遠くで収束する成分がr^nの級数である事から、それと比較することで、軸対称な場合の多重極展開を導入する(上の文書の(4)でm=0の項のみが残る)ことはできるけれど、それもこの問題に限った各論になりすぎて嫌な感じだ。

んであれこれ悩んでいた。ところが、もともと何となく、球面調和関数という物に苦手意識があったのが、ルジャンドルの多項式が{1,x,x^2,,,}にシュミットの直交化法を施す事で得られるという話を聞いて、これは、と思った。つまり、有限閉区間上のL^2関数空間の基底を{1,x,x^2,,,}が成すという事実(ただし、これは本質的にはワイヤシュトラスの多項式近似定理であるが、実は余り自明ではない。特に、ノルムに関する収束を考えているのであって、テイラー展開とは全く異なる内容の主張であるということに注意を要する)さえ認めてしまえば、完全に初等的にラプラシアンの固有関数系が構成できてしまうのだ。これが決定的になった。この方向で球面調和関数を導入してしまって、係数比較だけで鮮やかに解いてしまおうと。

ルジャンドルの微分方程式はパラメタを含んだ二階の常微分方程式であるから、本来パラメタの任意の値に対し二つの独立した解を持つ。微分方程式の解、という観点からルジャンドルの微分方程式を議論する限り、どこまでの解を含めるとどのような関数空間を尽くすか、という議論を欠かすことができない。適当な本だと「物理的に意味をなさない」と言って発散解を全て棄却し、ルジャンドルの多項式のみを残すが、考えるべき関数空間が物理的要請からすぐさま決まるのは量子力学の場合くらいしかなく、静電場を扱う場合に、特定の関数空間を考察の対象とする事は一般には正当化されない。そして、解の発散の様子等の扱いは、複素関数論を駆使する面倒な議論が必要になる(らしい)。これはちょっととっつきにくい。また、この立場では解の直交性が示すべき定理となる。この計算はまた非常に面倒だし、直交性は「たまたま成り立っている」というだけでは納得できない著しい性質だ。

いずれにしろ、発散解も適切に扱おうとすれば議論は到底初等的とは言えなくなる。初等的な議論で済ませようとしたら物理的な要請以前に技術的な問題から関数空間の制限は避けられない。それならば、説明になっていない先に結論ありきの説明で関数空間を狭めてしまうくらいならば初めからその関数空間上での議論にしてしまうのが潔い。つまり、始めに

(内積を∫f g* dx(g*はgの複素共役)として)
@有界閉区間上で{1,x,x^2,x^3,,,}は基底をなす
A関数to関数の自己共役演算子の固有関数は基底を成し、直交する

という二つの事実を挙げ、残りの議論をこの下で行う。すると、この議論の不正確な部分が全てこの始めの主張に集約される。

十分な知識を持っていてこの議論の曖昧な点が気になるような人間には、すぐさま、この始めの二つの主張が、積分を関数解析の理論が適用可能な形で(つまりルベーグ積分)定義し関数空間を(通常の内積、ノルムの入った)L2空間にとる、という宣言であることが明確に分かる。ここで作った固有関数系で作れない関数が現れた場合(そしてそれは容易に現れるのだが)、それがL2空間の元ではないためにこの議論で問題が生じるのだという事が直ちに了承される。

そして、通常の微積分程度の知識しかない場合にも、@、Aを認めてしまう限り、それ以降の議論は完全に初等的で明瞭である。特に直交性が示すべき定理ではない当然の事実となる。もちろん、@はともかくとしてAは関数解析において見出される特徴的な主張で(直交行列とのアナロジーはあるにしても)余り自明でない、少し唐突な感じのする主張だし、関数の作る線形空間とかそこでの内積とかはそれほど初等的な話ではない。しかし、この種の関数空間と自己共役演算子のラフな扱いは、それが全く初等的でないにも関わらず、物理学では波動関数に基づく量子力学で十分に慣れ親しまれているのであり、受け入れ易いものだ。

このように、ある一定のバックグラウンドを持った人々の間では容易に受け入れられるようなラフな議論で、かつ、厳密化も容易/厳密でない点がどこにあるのかが一目瞭然であるというのは、僕の基準では「良い説明」の一つだ。いつもいつも厳密に行えば良いというものではない。むしろそれは(特に物理では)真の理解とは言えない。しかし、いざという時に厳密にできないのではその説明に意味がない。

2004/12/15(水) コリアン
キューメンチョーワカンスーを整理して、担当する演習問題の解答を作って。本当に、一度整備してしまえば非常にらくだ。

んで明日は韓国語の小テストなので勉強。全然わからない。三回しかないうちの一回を既に休んでいるからまともな点が必要なのだが、これはやばいかもしれない。
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大体、どうせ微分方程式なんだから適当な本を参照してちゃんと解けばよいものを、それを回避して、自己共役演算子の固有関数は直交基底を張るっていう事実と、{1,x,x^2,x^3,,,}が基底であるという事実だけで押していったのが間違いか。一番素朴で、かつ隙のない議論になってはいるんだけど。

2004/12/14(火) キューメンチョーワカンスー
球面調和関数展開ってこんなに面倒だったのか…。いくら直交関数系で、一度準備してしまえば取り扱いが楽だとはいえ、その準備は微分方程式を解かざるをえない。。。二日がかり。

2004/12/12(日) ガーン
文芸部の会合があって、帰ってきてからずっと演習問題の担当分をやってたんだけど、がーん。すごい勘違いしてた。。。二乗可積分関数に解を限らない微分方程式には、関数解析の一般論はあんまり役に立たないのね…。でも、そうしたら、変数分離とか、解空間の次元とかって、どうやって考えるんだろう。偏微分方程式論、勉強してみようかな。

この週末でやる予定だったこと、何もできてない・・・

2004/12/11(土) ラックスメモリー
一週間前に腕時計が景気良くはじけ飛んだ。一日のうちに三箇所が破断した。ソニータイマをはるかに上回る技術だ。おそるべし890円時計。

でしばらく悩んでいたのだけど、今しか買う機会はないと思い
http://www.poladigital.co.jp/product/laks/
この64MB版を購入。

とりあえず携帯fox
http://www.forest.impress.co.jp/article/2004/11/10/keitaifox.html
を使ってみる。いい感じ。

2004/12/10(金) ナンテコッタ
え〜、私は自分の兄のことを愚兄などとよぶことが多いわけですが…。

この「愚」って「我」の意味の謙譲表現なんだって。衝撃の事実。なんだ、自分の兄を馬鹿にする表現ではないのか。

2004/12/09(木) シェーキーズ
ラスト15分で韓国語の授業に出たら作文あてられた。辞書引きまくりで単語はどうにかなったけど文法が全く不明。んで、来週小テストだって。先週も小テストだったしペース速い。しかも先週はテストだって知らなくていったら終わってたので、今回は50点とればすむってもんじゃない。来週も演習あたってるし…。死にそう。

韓国語の後2時間時間があくので、いつもだったら軽く昼飯を食べてぶらぶらしているのだけど、ふとスパゲッティが食べたくなって、それとゆっくり
http://www.utp.or.jp/shelf/200411/061305.html
を読みたかったので、食べまくるつもりはないんだけど場所代込みのつもりでシェーキーズへ。そしたら結局食べ過ぎてしまって腹の調子が悪い。だけどこの本はじっくり読めた。うん、面白い。理論的な基礎は三秒で終わるのに個別の問題で一々各論が必要になるこの面白さはホログラフィに通じる物がある。

あと、最も基本的なdX/dt=f(X)のタイプ(常微分方程式)の数値計算法がまとめてあるのも嬉しい。

12月絵日記の続き


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