Rukeの日記
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2004/10/10(日) ゾク
車の練習。大学の方まで行った。疲れた。
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第一原理といわれる法則は決定論という考え方と切っても切れない関係にある。

決定論とはすなわち、瞬間の状態がその後の全ての結果の原因となるという最も単純な原因-結果関係に基づいて世界を理解しようとする試みで物理学の最も基本的な視点だ。実際の所物理学では決定論が成り立たないように見えた場合、つまり同じように見える状態がその後異なる時間発展をした場合、状態を特徴付ける知見が完全でないため異なる状態が同じ状態に見えたのだと考える。決定論が「全ては既に定まっている」という物理学の盲目的な主義であると捉えられる事があるが、決定論は主義というよりは物理学の世界を理解する上での方針であり、探求が永遠に終わらない可能性はあるものの、それ自身が否定され得るものではない。物理学者は神様がサイコロを振ってチェス盤の駒を進めている可能性を否定しない。ただ、サイコロと神様を状態空間の自由度に付け加えるだけだ。

#実の所物理学の発展の歴史はほとんどこの状態空間の拡張にこそあるのであるが、話がややこしくなるので以下ではそれは忘れる。

決定論に従えば
s(T+T_0)=f(T,s(T_0))
なる状態から状態を得る写像fがある。従ってこのfは物理学が知ろうとする法則たる資格を持つように思える。しかしこのfは「アヒルが壁に向かって猛スピードで走っていたらしばらくすると壁に激突する」とか「すっごく重い星があると、内圧が保てなくなった後ブラックホールになる」といった現象そのままの記述を際限なく集めるしかなくなる。「星間ガスが集まってしばらくすると太陽系が出来てしばらくすると地球ができてしばらくすると人類が誕生する」という記述が、人類の誕生について何らかの理解をもたらしてくれるとは考えがたい。

そこで普通物理学では決定論に時間的な局所性を組み合わせる。

実は近年明らかになったカオスという現象がこの事のもっと直接的な動機となる。決定論という見方はそのままでは「もし世界が過去のある時点での状態に回帰したなら、同じ事が繰り返す」という事しか言わない。しかし世界が過去のある時点での状態に完全に回帰するとは考えがたい。つまり上記のfは本当に、宇宙開闢以来のストーリーの記述そのものとなってしまい、我々に何ももたらしてはくれない。決定論は状態空間の部分空間への分割とか空間的な局所性、また対称性といった概念を導入し状態の「類似度」を比べられるようにした上で連続性を要求して初めて意味を持つ。連続性とはこの場合、より似た状態から出発した程より似た結果が得られるという事だ。ところが実際には、我々の世界はどんなに似た状態を用意しても一瞬似た時間発展をした後は全く異なる時間発展をするという性質を持つ事が分かってきた。つまり先に示したfを記述しようとすると、あらゆるs(T_0)について個別の記述が必要となってしまい、fを知ろうとする事は物理学の方針としては全く不適切なのである。

さて、決定論に時間的な局所性を組み合わせるというのは、ある瞬間の状態がその直後の状態を決め、その連鎖によって未来の状態が最終的に決まるのだという見方だ。これはラフに書けば

s(ある瞬間)

s(その直後)=f(s(ある瞬間))

と、ある瞬間の状態に基づき直後の状態を定めるメカニズムを想定するということだ。先の見方とこの見方は数学的には違いはないが、状態を時間発展させる手続きを想定し、その結果として現象を捉えるこの視点は世界に対する一定の理解を与えてくれる(ように思える)。

ここでラフに書いた関数関係はもし時間が離散的ならばs(n+1)=f(s(n))と書けるが、実際には、当面我々は時間は連続的であり、状態も滑らかに変化すると考える(ここには先ほどの決定論が連続性とセットで意味を持つことも含めていろいろと細かい問題があるのだがとりあえず忘れよう)。この時s(その直後)を上手く記述することは数学的に少し難しい。微小変化dTといったものを導入してもよいが、ここではある瞬間とその直後が関数関係で結ばれるのならばある瞬間とその少し後もラフな関数関係
s(T+ΔT)〜f(s(T))ΔT+s(T) (0<ΔT<ある程度小さい)
で結ばれると考えるのが時間発展のメカニズムの空気を残していてかつ初等的だろう(とは言え微分の知識が全くなければこの一次の関数関係を納得するのは難しいだろうがそれは認めて欲しい。。と、ここで衝撃的な読者層が明らかになる)。

とにかくそうすると、このf(s)こそが、法則の名を関するにふさわしいということになる。


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