Rukeの日記
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2003/08/26(火) ハングリーなハンガリー
高校時代のしがらみで、来月ハンガリーにいって、サイエンスコンテストとかいうものにでなければいけない。もともとは読売新聞社主催の学生科学賞というものに出ることになったのが発端で、その結果EU主催のコンテストに派遣されることになった。

正直言って、そもそもかなり特殊な事情で参加していて、最初から最後までここでは語れないような不満たらたら(自分の通っていた高校、学生科学賞そのものの双方に対して)なのだが、実のところこのEUのサイエンスコンテストは非常に良いコンテストだと思うので、これに出ることになるのが初めから決まっていたのなら、もう少しまともなものを出したかったところだ。

しかしそうはいかないので、諸悪の根源たるChime Systemを持っていって説明をしなければいけない。で、いい加減そのパネル展示を作らにゃならなくて、今日一日で作る予定だったのだが。

何もしなかったのだよ、うふふ。

明日はやろう。
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私は小説を読んでいて不確定性原理か不完全性定理かDNAかハッキングが出てきたらとりあえず表紙を一回ぶんなぐることにしている。おそらく現代の四大ブラックボックスだ。名前と分かりやすい言説だけが流布して勝手に肥え太っている。

不完全性定理で最悪の誤解はこれが公理系一般に対する主張という思い込みである。だから、不完全性定理を一般論めかして語った時点で確実に誤解である。

不完全性定理は自然数論の公理系に関する定理で、第一不完全性定理と第二不完全性定理からなる。よく引用されるのは第二不完全性定理のほうだ(多くの作家は第一のほうは存在すら知らないのに違いない)。これは自然数論が無矛盾だとしても、その無矛盾性は自然数論では証明できない、というものだ。

ここで自然数論が無矛盾であることが定理の中で仮定されている。この点で「自己の正気は証明できない。証明しようとする当人が狂っているかもしれないからだ」などといった言説は不完全性定理とはなんの関係もない。

ちなみにさらにこの誤解が自己証明一般に拡大されると「この世界はコンピュータプログラムであったり誰かの夢であったりするかもしれないが、この世界の中にいる限り気付き得ない」といった言説に(マトリックス!)なる。これは不完全性定理とは関係ない。というか、同じ規則に従う``物''は同等であって、その規則以外の要素(マトリックスから現実世界への脱出)が入り込まない限り区別できないし、しても意味が無いというのは公理の考え方そのものであってもっともっと基本的なものである。

では、不完全性定理とはどういうものか、というと
1.自然数論の公理系上(Aとする)で自然数論の公理系と同等な体系(Bとする)を構築する
2.自然数論の公理系が無矛盾である、という主張をBを用いてA上で表現し、証明する

これからわかるように第二不完全性定理は公理系の証明能力の一つの指標にすぎない。見方によっては第一不完全性定理「自然数論の公理系はいくら拡張しても、証明することができず、その否定も証明できない命題が存在する」のほうが重要だろう。このような命題は、それを付け加えて新しい公理系を作っても良いし、その否定を加えて新しい公理系を作っても良い。その意味で数学の発展の可能性を示しているからだ。

えーここまで全部前振りなのです。というか、これだけ書いておいて、私自身がこの分野で勉強と呼べることをしたのは一学期に授業で二回の述語論理の使い方を習っただけで。結局の所``文学的理解''の域を出ていない。まあ間違ってたら誰か訂正してくれると期待して...

で、前から読もう読もうと思っていた本に面白いことが。自然数論の公理系をちょっと削ってやると、それだけで不完全性定理の証明は全部やり直しになるわけですが、実際に、重要な定理のほとんどがちゃんと証明できて、しかも無矛盾性に関して``有限の立場と同程度の透明性''を持った公理系が作られているそうです。ふむふむ。


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