|
2003/10/22(水)
コンゴージョータイ
|
|
|
このように、意外にも現象論抜きでも納得できる所の多い量子論だが、今の所全く理解できていない概念がある。それは混合状態というものだ。一学期の大学での講義では、純粋状態のみを扱った。純粋状態の理論に関する限りは、非常にすっきりうけいれることが出来た。量子論のパラドックスと呼ばれているものの多くは、量子論の初期に生まれた、量子論がある哲学("測定"しなければ"決定"しない云々かんぬん)を反映しているという誤解に基づくものであって、きちんと定式化された理論を見れば、それは単なる法則にすぎず、そこには何の哲学もない(測定の定式化はこうは言い切れないかもしれないが)。例えば、シュレディンガーの猫も、一般に流布している形態のものに関する限りは、ちゃんと生きれるし、ちゃんと死ぬことが出来る。
しかし実は、量子論には未だに微妙な問題が多く残っていて、それらの多くはこの混合状態という概念に起因するようなのである。すると、これを学ばない限りは片手落ちということになってしまう。
で、今少しずつ本を読んでいるのだけれど、これはおおよそこういう物のようだ。
古典的には、系Aの取りうる状態がa1,a2で系Bの取りうる状態がb1,b2であるなら、二つの系をあわせて一つの系ABと見ると、その取りうる状態は(a1,b1),(a2,b1),(a1,b2),(a2,b2)の四つのみと考えられる。
とりあえず、ここで考えた状態がそのまま量子論でのヒルベルト空間の基底になるとしよう(例えば力学系では、系の状態として粒子の位置のみ、あるいは運動量のみに注目して上記のa1,a2...をリストアップする)。つまり|a1>,|a2>がヒルベルト空間H1を張り、|b1>,|b2>がヒルベルト空間H2を張る。そして、系Aと系Bをあわせて一つの系ABと見た場合にそれが量子論でどのように記述されるかを考える。もちろんこの答えが考えているだけで出るわけないが、とりあえず単純に考えて、|a1,b1>,|a2,b1>,|a1,b2>,|a2,b2>なる四つの基底で張られるヒルベルト空間を考えたくなる。数学的にはこれらの基底は|a1>,|a2>と|b1>,|b2>によって作られる四組のテンソル積で表される。ところが、これらを含む最小の線形空間はH1,H2のベクトルによって作られる全てのテンソル積の集合よりも大きいのである。つまり、系ABを記述してくれそうなこのヒルベルト空間の元は、必ずしもH1,H2の元のテンソル積として表せない。
このことは、粒子が一つだけしかないような単純な系を除けば、古典論の単なる延長としては理解しがたいような量子論独特の現象が存在することを示唆している。
こんなところで合っているのかな(オ)?
そして量子論が抱える多くの問題はここに起因するようなのである。シュレディンガーの猫の話も、本当は混合状態についての注意深い考察から出てくる問題であるらしいし、ベルの不等式が破れるとかいう、アインシュタインと誰かと誰かのパラドックスも、混合状態を巧妙に使うようだ。
ちなみに、講義で使ったテキストでは、純粋状態のみを使ってベルの不等式の破れを導いているようだ。この項は結局ちゃんと読んでいないのだが、この違いは気になるところだ。そもそもベルの不等式が何種類もあるし、この周辺の議論も様々に行われているということで、少し真面目に学んで見なければと思う。
いい加減手を動かして勉強しないとまずいなあ。 ----------------------------------------- 今日は馬鹿だった。 三時間目が空いていて、四時間目は解析の授業があるので、三時間目にあたる時間帯は渋谷に言って、うどんを食って、本屋に入って、と時間をつぶして、さて解析の授業に行ったら休講だった。がーん。昼には帰れたとは。
しかも帰ってきてから夕飯まで寝てた。駄目すぎ。
|
|
|