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2006/04/28(金)
小ネタというかなんというか。10>悪魔と踊れ
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10)あなたを守る
今、俺達は件の男の屋敷の一室に招かれていた。 男は、華村麻友と婚約していた男で、つまりは子供の父親。 この男はかなりの資産家でもあったが、そのせいで人間不信な面があり、それが影響して二人は別れたそうだ。 だが実際は女のほうに未練たらたら。 けれど一度自分を裏切った(と思い込んだ)女と自分からよりを戻すなんて、とうだうだと考えていた矢先に、彼女が子供を産んだ。 生活にも困るだろうと手を差し伸べればきっと戻ってくるとたかをくくっていたが、俺達の手を借りて生きて生き始めた彼女のことを報告されて、目の色を変えたようだ。 男、この場合は俺が嫁さんに愛人である彼女を世話させている、とかなんとか。 …まあ、あとでそのあほな報告作ったらしい探偵は探し出して締め上げる。 で、今は赤ん坊を連れた彼女と彼は落ち着いて話しあいをしてるはずだ。 なんで「はず」なのかは、ひとしきり全部の説明と俺達の関係の誤解を解いてから、うちの奥さんがこう言った。
「きちんと今話し合いをしておかないと、後悔すると思うんです」
おどおどと、だけどはっきりそう言った彼女は今俺の腕の中にいる。 なんでかといったら、俺が抱きついているからだ。
白姫には妖怪が作り上げた『道』を使って先に家に帰ってもらって、今夜の報告をさせている。 俺の命令なんて絶対的に聞きやしない蛇女は、嫁さんの『お願い』にしぶしぶながらも頷き、ちろちろと赤い舌を出しながら戻っていった。 この人は、元々話し合いのために彼女を連れてきてもらったのだと、ぼそぼそと小さな声で俺に訴えた。 「話さないと、きっと分かり合えないから」 そう話をしめくくった彼女の様子に、俺は頷き、それでも内心「けど貴女を誘拐まがいのことして拉致したのは万死に値するんだよ」と思い、密かに闇討ちするなりちゃんと計画立てようと思ったときだ。 「…あの」 「はい」 「…すみません…。本当に、迷惑でなければ」 すがるように俺を見上げた彼女の瞳に、もうそんな気持ちはふっとんだ。 少なくともこの場では。 「今、一緒にいてください…」 「…今といわず、ずっといます」 即答すると泣き笑いの表情を浮かべた彼女。 「…ちょっとだけ、今思うと…自分のしたこととか、あと待ってる間とか」
少し、怖かった。
そう吐き出し、泣きそうになっている彼女は抱きしめて慰めるしかなくて。
あぁ、やっぱりあの男は抹殺すべきだとか。 そんな思いもなにもかもどうでもよくなって、俺はひたすらこの腕の中ですまなさそうに…だけど安堵してる彼女のことしか考えられなくなった。
俺が守る。 全てから。
そう口にしてもきっとこの人は「いいですよ、そんなこと」なんて言ってしまうから、けして口には出さないけれど。
もう二度とこんな目にはあわせないから。
※お題場様より/『あなた』花言葉 御題から 『あなたを守る』/カランコエ
【WEB拍手】 4/27 21時 >日記小話みて噴きました。ナナシさん今度は小五郎さんですか〜〜!?の方 ナナシさん、かわいそう(ほろり)と涙していただければ幸いです。いや、眠りの小五郎になったのが、ではなくてもう一回コナンの世界でよく知った人になってしまったから。 平行世界とは思っていても心中は複雑でしょう、きっと(苦笑)。
4/28 0時 >逆行生徒、更新まってました! の方 だいぶお待たせいたしました。 ちまっと更新しております。(短いですが)
たくさんの拍手ありがとうございます。
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