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2006/04/23(日)
明烏と文楽師匠。
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口演しながらも、実に様々なことを考える。 「この人、笑わない」 だとか。いろいろと。 もちろん、自分についても 「声出てない」 「ノレてない」 「酒抜けてない」 「この間、ここでつっかえた」 とか。 そして今日も… 『明烏』をやりながら、数行後に出てくる筈の『日向屋半兵衛』の所在地が全く出てこない!! 何度、思い返しても『片棒』の石町だとか、明らかに「あ〜違う!」という町名が…。 しかも、違うことを喋り、演じながら同時進行で必死で思い出そうとしている。こんな時のアタマん中は如何なっているのだろうか? 幸い、フリーズすることもなかった。
が、結局出てこない。
そりゃあ、知らない人には全く分からないようにカバーした、え?カバーで不服なら、そう誤魔化しましたよ、ワタシは。 楽屋に戻っても出ない。 帰り、上野から運転しながら神田司町、大手町と通ってきてやっと出てきた、ポロッと。
『田所町』
そう、田所町だよ。 昭和の名人・黒門町の師匠こと桂文楽は、『大仏餅』という噺の中の『神谷幸右衛門』の名前が出てこず 「勉強し直してまいります」 と頭を下げて、噺の中途で高座を降りた。 それが、文楽師匠の最後の高座であった。
それにひきかえ…である。 我ながら。 しかもその『明烏』は文楽師匠の十八番中の十八番でもある。
文楽師匠申し訳ありません。 勉強しなおして参ります、はい。
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