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2005/07/20(水)
あの夏、輝いていた夏。
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ボクにとって、夏はものすごく特別なことだ。 残念ながら今回は、恋愛の話でも、アバンチュールな話でもない。 落語家の落語家としてのオハナシ。 何年か前の夏、ボクの噺家生活が始まった。それから何年かたった夏、平坦ではない道を敢えて選んでいるような噺家生活は、少しの空白を含めて続いている。
あの夏、希望が不安を退けて田端の駅前の坂を毎日毎日歩いていた、時に笑顔で、時に俯いて、時に走って。 それは、それから何回も過ごす、そして今まで何回も過ごした夏の中で、いまでも確かに輝いている。 ただ、あれから幾度か夏を過ごしたボクは、その輝きこそが美しいなどと、カンタンに言い切ってしまえる人間ではなくなっていた。 むしろ、あの輝きが自分でも懐かしく思うほど、あの夏からは遠ざかってしまった。
あの夏に似た晴れた空を見上げ、ボクは眩しげに目を逸らす。でも、そうしたのはただ眩しかったからだけではない。
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