〜花抜坂中納言日記〜
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2005年4月
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2005/04/01(金) レクイエムのように…。
 昨日、例年より少し遅めの桜の開花が伝えられたその日、ボクはひとつの恋愛にケジメをつけた。
 その人が故郷に帰るという日の10日前のことである。

 ふた月前、新宿末廣亭の高座を観に来てくれたのが彼女と親しくなったきっかけだった。
 それから食事をしたり、会を手伝ってもらったり、何時ものように酩酊するボクに付き合ってくれたり…このふた月、彼女は最良の友人であった、お互いそう認識していたと思う。(その関係を壊したのは、結局わたしなのだが)
 事実、生活環境が急激に変化しようとしていたボクの、なによりの支えとなってくれていた、この短い時間がとても長く感じられるほど一緒にいたと思う、それはみんな友としてなのだが。
 それでもボクは充分だった。
 彼女の前で、隣りで、話をしているだけで楽しかった。彼女を笑わせるのが嬉しかった。ボクの方が好きになり過ぎた、今までに一度もない経験に大きく戸惑った。

 最初に会った日、寄席がハネたあと一緒にゴハンを食べたとき、故郷の実家に帰ることを聞いた。せっかく知り合ったのにと、残念がったが、それを聞いてからは、ボクとのひょんな出会いが東京での最後の思い出となってくれればと思っていた。そう自分に言い聞かせた、と云いう方が正確かも知れない。

 それでも、昨日彼女に想いを伝えたのは、やっぱり自分自身や彼女に最後まで嘘をつき徹せなかったからだと思う。

 彼女には最後の最後に辛い想いをさせてしまったと思うと、胸が痛い…締め付けられるように、ナイフで切り裂かれるように、胸が痛い。
 「司クンとは付き合えない」と言って車を降りた時の、今までに見せたことのない悲しい顔を見たとき後悔もした。

 でも、自分の想いを伝えられたことに、全く悔いはない。

 一夜明けて今日の日の碧空のように、晴れやかな悲しみが胸にどこまでも広がっている、どこまでも遠く。


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