〜花抜坂中納言日記〜
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最新の絵日記ダイジェスト
2007/08/01 モノを知らない。
2007/05/04 とりとめもなし。
2007/05/03 大型連休。
2007/04/30 3タテ。
2007/04/29 紀尾井ホール。

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2005/03/11(金) 桜、さくら、サクラ。
 昨晩は四時前に帰宅、酔っていないのでシーツに入ってからも様々なことが脳裏をかすめる。
 そのうち雨の音を聞きながら眠りについたのも束の間、10日間の慣習で8時ぐらいから寝たり、起きたりと。

 一日、雨。もの想いに更ける。
 これから一雨事に春が近づく、春はなんとなく憂鬱だ。桜がハラハラと散るように、物憂げで決して賑やかではない。

 今年の春、桜の下でボクは何を思うのだろうか、たれを想うのだろうか…。

2005/03/10(木) センセンキョウキョウ。
 国立演芸場、千秋楽。
 無事何事も無く(…と、いいたいとこだが、オオシクジリがありまして)10日間終了いたしました。
 10日間で寄席を含め延べ13席、落語が出来ることの有り難さを実感いたしました。

 さてさて、朝からさかんに報道されておりました一日一善・中西一善センセイの逮捕…強制わいせつ罪。
 センセイの住まいはワタクシの家のごく近く。しかも、犯行現場は行きつけの飲み屋が入っているビルの入り口。酔った上での犯行…。ボクも気をつけねばね…。

 と、言ってる先から、先日酔った上で非礼を働いた詫びをしにオンナノコに会いに。やってることは、やっぱり中西センセイと大して変わらない…と書くと誤解があるなぁ、強制わいせつとかではないからね。
 でも、怒ってなくてひと安心。
 今まで飲んだことのないような薄ぅーい、薄ぅーい水割りをのんで、間違いのおこらないうちに帰りました。

 何時か、七之助さんや中西センセイのようなことに自分がなるんじゃないかと、戦々恐々の司です。

2005/03/09(水) 平穏無事な九日目。
 国立演芸場のお客様の反応が以前よりも良くなった。国立にお客様が定着したのか、はたまたワタクシの腕があがったのか、まぁその双方ということにして、とにかく今日まで演りいい状況が続いている。

 このままの雰囲気で千穐楽までいけば申し分ない。

 そして今夜も、美味しい酒が飲めることに感謝。

 たまには、平穏な一日もある。

2005/03/08(火) 二十五の春。
 変わらないものが、滅び行く運命をただ待っているだけだとしたら、ボクも、滅びる乃至破滅せざるを得ない藝人もしくは人間なのだろう…と寄席の帰り、ステアリングを握りながらそんなことを不意に考えた。
 分かっていながらもアクションを起こさない、それは破滅願望に等しいのだと思う、そんな想いに衝き動かされることがある。

 春というのは、なんとはなしに憂鬱だ。むしろ、秋や冬よりも。
 なにも諸行無常は祇園精舎の鐘の声ばかりではない。
 日日を空しく感じたり、空虚感に襲われたり…そんなものに負けないように、落語を語り、酒を飲み、ひとを愛し、ムキになって今を生きようとしている。結局、至って凡庸な人間にはそれぐらいしかすべがないのだ。

 自分に負けないように生きてみたり、負けてみようかとも思ってみたり、三遊亭司、二十五の春である。

2005/03/07(月) ステキなタイミング。
 何年ぶりかにむかし演ってたネタをかけてみると、新しい演り方をみつけたりする。それがまた楽しい。

 高座を勤め、国立演芸場内でFM川崎の生放送、電話インタビューをうける。
 10分ほどのインタビューで国立の宣伝やワタクシのことを若干。
 そこでお決まりの「どうして落語家になったのですか?」という質問。
 はっきり言って、どうしてキモノを着て、正座して、落語を喋っているのか自分でも判らないときがある。
 最近この手の質問には「タイミング」と答えている。ひとつでもタイミングが狂っていれば、いまのボクはいないのだ。だから、漠然的ではあるがタイミング、良いことも、悪いことも、みーんな最高だったり最悪のタイミングで来る。

 そんなことを志ん公とオンナノコと食事しながら話してたら「司さんは、オレは落語と結婚したって言ってたよ」と言われた。ふーん、酔うとそんなこと言ってるんだ…。

 そしてこのコと出会ったのもタイミングが悪かった。
 きょうもタイミングに感謝したり、恨んだり。

2005/03/06(日) 輝かしい一日。
 いっぱいのお客様。
 いまいちのれないもどかしさ。
 これでも、高座があるからまだいい。
 なんとかバランスを保っていられる。

 重たい空。
 冷たい風。
 めまぐるしい人の流れ。
 そんなものを、窓一枚で遮断してステアリングを握る。
 運試しのように入る、コーナーワーク。
 危ういバランス。

 こんな日に、酒をのんだら崩れてしまう、負けてしまう、だから飲まない。
 
 そんな、ユーツでステキな輝かしい一日。

2005/03/05(土) 宿酔い版若旦那。
 スーツのまんま寝ていたというか、布団の上に倒れていた。
 宿酔いの鈍いアタマで昨夜のコトを思い出す…と、またアタマが痛い。ガンガンもするしズキンズキンもする。胸のムカツキも抑えられない。
 そして、アタマの真ん中、奥底にある遠い記憶が引っ掛かる。
 7日の日の約束だけを、鮮明に覚えている。
 あとの事は、忘れたのか忘れたいのか定かではないが記憶が朧気。人間は実に都合がよく出来ているワケだ。
 
 そんなアタマで国立5日目、中日。
 約束の7日まで二日もある。

 土曜の首都高を、気分とはウラハラ爽快にとばして自宅から20分で国立演芸場へ。終日頭痛、吐き気。
 楽屋に入ると、まだ酔いから覚めてないのか妙なテンション。
 
 客席はいっぱい。
 楽しみである。
 こんな日は、ご存知「湯屋番」。
 もっと、爆発がほしかった…まぁこの体調でよくやったよ、アンタ…という感じだ。
 
 高座の上は実に心地よい。
 煩雑なことをすっかり忘れられる。
 そして今日もボクはあの人のタメに落語を演った。
 今のボクに出来ることは、それしかないから…。

2005/03/04(金) 落語を抱いて…。
 静岡は富士市で落語会、久しぶりに師匠と一緒。
 笑いたがってるお客様、よくウケました。

 師匠と軽く飲み、深夜のタクシーで蒲田に舞い戻る。久々に激しく酩酊、あることがきっかけで悪酔いをした。最近にない悪酔いに、寝覚めがワルい。何時までたっても女のひとに弱いのだ。

 あー、失恋の予感、というか悲恋に近い。
 あっさり、ひとつ恋を諦めて、春仕度。あたらしい春は落語を抱いて、ひとり酒を呑むことになりそう。

 こんな時、落語家で良かったと思うのだ。

2005/03/03(木) 月命日。
 三日目。
 思いの外、早く楽屋入り。
 前座のいれてくれたお茶をのんで過ごす。

 前座は「道灌」。初日の前座とは違う前座。
 んー、お客さんの反応がよくわからん。笑いたがっているのか、否か?
 考えてるうちに噺に入る。
 あきらかに、セレクトミスだった。

 下りて、着替えた後、舞台袖で後の人の反応をみる。
 もう少しなんとか出来たな…。
 しきりに、腕を組んで唸っているとお囃子のお師匠さんが
 「噺家さんは大変ね、でも仕方ないわよ…」と、言ってくれたのだが、納得いかないものはナットクいかない。お客さんが眼の前にいたら、とにかく揺すぶりたいと思うのが本能だ。
 
 国立を後にして、谷中へ。
 亡き師匠の月命日。
 未だに、墓前に手を合わせても適当なコトバが浮かばない、ましてドラマのように師匠の声も聞こえない。
 亡き師匠を思い出したり、師匠に言いたいことが出てきたりするのは、もっぱら独りで酒をのんでる時とぐらいになってしまった。

 そしてそんな日は、決まって師匠・三木助の夢を見る。
 ボクは、何時ものように田端で修業をしている…そんな夢を。
 

2005/03/02(水) 雑芸売り。
 国立の高座を終え帰宅、夜は池上本門寺裏の朗峰会館でとある方の受賞祝賀会に小円歌師匠と。
 出がけに、慌てて「百面相」の道具を風呂敷に入れておいたのだが、これが大活躍…というか、助けられた。
 毎度言うことだが、乾杯の後の会食、ご歓談というヤツに敵う芸人は数少ない。まして、噺家は喋るショウバイ、聞いて貰わないと笑える訳がない。そこで余芸の「百面相」。
 まぁ、こんなもんでしょ、まともに噺なんぞやらなくて良かった。
 どんな状況であれ、ウケないとキズつくからね。

 ご覧の通り、どこでだって、だれを相手だろうが、どんな仕事だってやるこたぁやるのだ。

 噺だけで喰えりゃあいいんだけどね…。

3月絵日記の続き


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