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2004/12/11(土)
エレファント(ネタバレあり)
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オレゴン州ポートランド郊外にある、ごくありふれた高校。校庭や廊下で、好きなカメラで撮影しまくる写真家志望のイーライ。体育教師に「短パンを履け」と注意される冴えない女生徒ミシェル。女の子にモテモテのスポーツマンなネイサンは、彼女のキャリーと昼休みの外出に出ようとしていた。噂話と家族への文句が生き甲斐のような仲良し女の子3人組は、食べたばかりのランチを吐きに揃ってトイレに向かう。ワケありで遅刻して来たジョンは校長先生に注意された後、友達のアケイディアやイーライと挨拶を交わしてから校庭に出た。そして重装備で登校してきたアレックスとエリックと擦れ違う。誰もが、いつもと同じ一日だと思ってた…。 ガス・ヴァン・サント監督によるコロンバイン高校銃乱射事件を題材にした作品。題材というより「下敷き」ですね。マイケル・ムーアのフィルムとは全く違い、銃社会への批判でも何でもない。淡々と生徒達の日常を追いかけるカメラワーク。大袈裟な演出も派手なBGMも一切なく起こる惨劇。気持ち良いほど後味悪い(←文が変だ・笑)突然のエンディング。2人の少年が起こす過ちを「ただ見せるだけ」で物語は終わる。問題定義もなければ解決もなし。これは好き嫌い別れますね。私は買って良かったです、DVD。 犯人のアレックスとエリックの2人は「いじめられっ子」という設定で、それが事件の引き金になってるように描かれてるけど、それは単なる2人の「口実」にも見える。イジメが動機なら、むしろ救われると思った。少なくとも2人の言い分だけはハッキリするから。終盤でアレックスが相棒のエリックをアッサリ殺すのも「唯一の親友だから俺の手で…」って見方も出来れば、誰もいなくなった校内を見渡してまだ殺し足りないから近くにいたエリックを(どうせ2人とも死ぬつもりだから)撃っちゃった…なんて捕らえ方も有りだと思う。アレックスって少年が血も涙もない事だけは解かる。考え方に寄っちゃジョンや真っ先に殺されるミシェルだって銃をぶっ放しても変じゃない状況だし、あるいは“オタク野郎”がイジメられるならイーライにだって充分悲劇の可能性はある。校庭で擦れ違うジョンに「中に入るな」って言うのも別にアレックスの優しさでも何でもないと思う。もしジョンが中の廊下にいてアレックスの目の前にいたら普通に撃たれてただろう。結局、主要キャストの生徒はジョンとアケイディア(パッケージ写真の2人)以外、全員殺されてしまう。ミシェルの次に撃たれたイーライが最後に撮った写真には何が写ってたんだろう。暫く「エリーゼのために」が耳から離れなかった。
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