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2004/12/19(日)
台詞を吐く基盤
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夜は劇団へ。基本稽古の後は後輩たちの台詞の稽古。 清水邦夫作『朝に死す』の台詞。
「俺たちの小さい時のことを覚えているか。なんだかひどく沢山の事が起こり過ぎたって気がする。 いろいろなものがどっと俺たちめがけて押し寄せた。それですっかりどぎまぎしちまったんだ。 臆病な俺や俺の仲間はただおったまげて後ずさりしたり、やにわに他人の股ぐらくぐって飛び出したり、人の隙につけこんだり。 それが精一杯だったんだ。それで何とか体面を保ってきたってわけよ。 俺はめちゃくちゃに飛び出しナイフやチェーンを振り回した。ひどく不安だったんだ。 何となく気に入らないんで、それに名に怖かったんだ。 ・・・寒いぜ、ひどく・・・」(*1) (清水邦夫『朝に死す』より)
この独白。無現で正式な劇団員になるためにはこれを合格しなければならない。
当時20代前半だった私。今よりも全く人生経験も浅く(今だって深いとは言えないけど・・・)、このような追い詰められた独白を吐く(*2)基盤が私にはなかった。そこで台詞を吐くためにいろいろな方法で自分を追い込んでいった。 過去の記憶、想像、五感で、呼吸や身体の状態を近づけたり、いろいろな方法で怒りや悲しみの感情を引き出したのを覚えている。 そうやって自分の闇も見つけて台詞を吐き、なんとかOKをもらい、今日に至る。
この台詞の一番難しいところは(人によって違うでしょうが私が思うに)最後の「・・・寒いぜ、ひどく・・・」だ。過去には新藤さんや木村さんに「オマエが寒いよ」と言われた劇団員も。 新藤さんがこの台詞を吐くためのコツを話す。なるほど、と思う。 私もやってみろと言うことになる。結果「まだ甘い」とのこと。。。難しいなぁ。。。
(*1 女性は少し言葉尻を変えたりするので、私の覚えているものはオリジナルとはちょっと違うかもしれないです・・・ *2 この台詞は喋るっていうよりも、吐くって表現のほうが近い気がするので、ちょっと汚い言葉かもしれないけどこれで通させていただきました)
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