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2012/08/16(木)
ミッキーちゃんは帰って行った
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北千住の街外れで僕がやっていた「もっきりや」にはたくさんのお客さんが来てくれてそれらの人々と友だちのような付き合いが続いていた。 殿方でコウちゃんタカマッちゃんビンちゃんコウシンさんシャチョウ、ミッキーちゃんフクちゃんリッちゃんオジキたち。ご婦人ではシブ、シカ、シマ、キミ、モリヤさん。マユミちゃんオネーちゃまイハラさんレイコちゃんウメちゃんアベちゃんオオノちゃんたち。店の売り上げはたいしたことはなかったけれど面白い時間を一緒に過ごしたと思っている。 昨日、大型バイクで来てくれたミッキーちゃんとは、もう16年振りの再会だった。千住当時20代だった彼も今は50を越えて二人の孫がいると笑っていた。 僕がこのように山深い里に引っ込んだ今も千住の友人達と逢えるのはやはり当時の何とも云えない付き合い方だったと感じている。あれから30年近く時間が過ぎてしまったけれど今でも目をつぶれば「もっきりや」のなかで働く仲間やたくさんのお客さんが小さな店の中で輝いて思い出される。 そのミッキーちゃんはバイクに跨って左手を上げてカーブのなかに消えた。僕は挙手の礼をしてしばらく佇んでいた。 見上げるともう秋の風が山々を流れているようだった。
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