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2012/04/07(土)
春旅
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旅は非日常の具体化で若い頃はいつも変ったことを探して汽車に乗ったものだ。な〜にどこかに行きたかっただけで日常も非日常も格好をつけたいいわけだったけれど。 いろんな所に行ってみたけれどいつからか日本の景色がどこも同じに感じられるようになって飛行機に乗っての旅だったり、生活に追われたりであまり旅をしなくなっている。今暮らしている所でいつも旅をしているようなもので汽車に乗らなくても充分乗ったのだからもういいと思ってもいる。だからいいのだけれど今回は徳山にいる13歳も若い友人と尾道で待ち合わし、瀬戸内海を渡って四国を見てこようと思い立った。丁度仕事で岡山に行くという他の友人とも逢い、いつもと違った西の方岡山でとは面白いだろうと考えていた。 尾道は小津安二郎「東京物語」のもうひとつの舞台でいい町だと思う。そこから船で魚島という小さな島に渡るのだがこれは40年前か「旅」という雑誌の瀬戸内特集で見て行ったことのある島なのだ。生意気盛りでコートを着て茶封筒をもって格好をつけて島を歩いたように覚えている。今回はそんな小さな島で沖行く船を眺めて暮らすのも悪くないと考えたからで今年の雪で苛められた身としては老後の進化を願ったということもあった。 尾道を朝1番の船で因島の土生。ここで魚島行きの舟に乗り換える。僕より若いおばちゃんが、魚島にはな〜んにもないよという声を流して乗り込んだ船に乗客は数えるばかりでこれでサクラが咲いていれば静かな旅になるのだがと見上げる島にサクラは見えなかった。瀬戸内は暖かいと思っていたが海風に吹かれるせいかサクラの開花は遅いと教えられた。 今度は4月10日頃にまた来なくてはいけなくなってしまった。花と海と空でいい眺めだと思う。ブラブラ歩いていると「ここでは飽きてしまうのじゃないか」と友人に云われてハッとするのだが、確かにそうかもしれないと少し気持が引いてしまうのも本当なのだ。でも後10年したらどうだろうか。その頃は病院がなくてはダメなんだろうか。安直に住むということは云えないなと心は乱れるのだ。 もしひと月借りられる借家や別荘のようなものがあれば体験暮らしが出来るのだが。 13時に島を出て弓削で乗り換え今治へと向うのだ。
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