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2011/07/01(金)
山弁
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昔、タクシーの運転手を出稼ぎでしていたこともあった。朝の5時前に起きて7時頃から翌朝の5時近くまで日に300kほど新宿を中心に流していた。僕には道が分からない。ずい分と嫌なこともあった。心臓が飛び出すような体験もした。ちょっと面白いお客を乗せたこともあった。総じてやりたくない仕事だけれどやる以上は稼がなくてはならなかった。で、夕方になると車を目立たない路地に止めて買ってきた弁当をそこで食べて休んだ。タクシーは9時頃からお客が出るのでそれまではいろいろと頭を使ってお客を探したものだ。そうやって食べる夕食を仲間は「路地弁」といって淋しく鼻で笑っていた。今思うとちょっとやるせない気になる。 今日も仕事で山に向った。どうにか降らなかったからそこにシートをひろげて弁当を使う。「路地弁」とちがって待ちどうしい弁当の時間だ。同じような食事のとり方だが浩然の気を一緒に食べながらだとこうも違うものかと思う。ところが降ってきたひには悲惨なことになる。まだないが傘を差して「立ち弁」となるのだろう。「路地弁」にしろ「山弁」にしろ「立ち弁」となっても僕はどうも室内ではなく屋外でその最後を迎えるように出来ているのだろうかとふと思った。
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