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2011/02/20(日) 「捨て丸」はその夜どんな夢を見ていたのだろう
 あの日は晴れて、いい天気で僕は羽根を伸ばしていた。その夜はその分冷え込んでいたはずだ。
 一昨年の5月にこの辺りに捨てられた「捨て丸」はすわりの玄関先で泣いていたという。その後小さい犬っころは切明にある雄川閣の前でも泣いていたのであろう。施設の人たちは彼を拾い上げてほそぼそと面倒を見ていた。2回の冬をもう少しで越そうとしていた15日の朝に「捨て丸」はひとりで旅立って行ったという。あの日は本当に寒い日だった。もう少しガンバレば暖かくなったというのに、小さい体にもう捨てられまいと必死だった「捨て丸」は帰ってこなくなった。
 「捨て丸」を死なせたのは僕だったのかもしれない。この11日の昼に見た「捨て丸」は元気一杯だった。雪の中にひとりで来るとも知れない人を待ち続けていた彼を訪ねて抱きしめてやるしか出来なかった僕の不人情が彼を拒んだのかも知れない。
 14日の夜から15日の朝の間に「捨て丸」はひとりで死んでいった。この雪に進化したと脳天気で思っていた僕の裏をかくように。僕は「捨て丸」に見捨てられたようだ。その話をするミヤちゃんも聞く僕も、涙を流してやることしか出来ないとは何たることだ。
 この犬は一昨年までどこかで飼われていて、やがて捨てられた。でもこんな山間の地に捨てられた彼は必死に宿主を探してようやく施設を見つけたのだけれど、宿泊を目的にする施設で飼うというのは土台無理な話なのだ。そのことは周りのみんなが分かっていた。だけれども健気に尾を振る「捨て丸」にほだされての生活が始まった。ことに冬は客足も減り「捨て丸」はひとりで朝まで留守番となった。どんなに心細かったか、寒かったかと思うと、オレは何ということをしたのかと。飼わない理由はなんとでも付けられるがでもここで「捨て丸」を見ていたのはオレなのだし…
 最後の寒い夜にタライのベットで震えながら見る「捨て丸」の夢を思うとどうしよう、どうしようとこころが乱れる。
 「捨て丸」はこの世で2年と半分生きたという。もう、この日記に捨て丸と云う文字を書くことはないだろうが僕の仏壇に写真を飾ってまぼろしの「捨て丸」を「タミコ」と共に飼ってやろうと思っている。しかし、この歳になると僕が愛した者がみんな去ってしまうのはどうしたことなのだろう。


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