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2005/01/20(木)
気分を変えて
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この所、時代小説に凝っているのです。伊達巻戦争に出征する道すがら、点けたラジオから松平アナウンサーの声で、藤沢周平の「冬の日」を聞いたのです。その声といい、間の良さといい、すっと心に沁みてくるのです。その短編を探すのに時間がかかったけれども、探し当てて読んでみるといいのです。 20年も前、郵便局時代にその作者がいいと教えられたことことがあったけれど、若造だった自分は微笑んでみただけだった。いつごろだったかほとんど純文学は読まなくなる年齢になると、こんどは歴史書、それも江戸時代から現代までのそのときどきの事件や、庶民の暮らしぶりに目がいって夢中で読んでいたことがあった。 自分の父は大正2年、祖父は慶応2年、ひい爺さんとなると天保13年その連れ合いは弘化3年に生まれた。その頃「金さん銀さん」という100歳になる双子のおばあちゃんがもてはやされてコマーシャルに出て「玄孫はまだかいなー」なんていっていたことがあって、考えてみると曽祖父からみれば自分は曾孫にあたるわけでその子供とまでも、人間というものは相対して生きていける。つまり江戸時代なんていうのは一寸前のことじゃないのかと考えたのです。といってもいきなり何とか先生の本ではなんだか授業を受けているみたいで具合がわるい。そこで、史実に即した調査を基本に書かれた小説ばかり読んでいた。吉村昭のものは私小説的なものは省くがすべて読んだ。司馬遼太郎も読んだが、小説はあまり肌が合わなかった。それはそれでおもしろっかった。勉強にもなった。 ただ、藤沢周平のそれは唸るのである。すっと涙がながれるように心に沁みるのである。一人閉じ込められていると、なんだか自分が生きていると実感できないのです。そんな時ウッウーンと唸ると、そこで情けなく感動している自分を見るような気がするのです。 きょうの仕事は昨日と同じだから気分を変えました。
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