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2004/08/29(日)
中央線人として
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バイト(河合塾)の後、ふらりと吉祥寺に寄ってみた。吉祥寺の駅前の、暗く細い路地がくねくね続いて小さな商店が所狭しと並んでいるあたり(ハモニカ横町)が好きだ。40年前から時が止まってしまったようなその一角を歩いていると、なぜか落ち着く。キッチュでチープで、どこか黄昏れた空気が漂っている。なんでも、終戦直後の闇市がそのまま残っているんだそうだ。 小学生の時住んでいた街にも、そんな一角があった。小学生の僕らは、その暗い空間を「トンネル」と呼んでいた。「トンネル」には、八百屋や魚屋、銭湯まであった。人が一人やっと通れるような脇の路地を進むと「隠し便所」があることも、なぜか僕らは知っていた。なかでもお気に入りだったのが駄菓子屋だった。そこで「ミリンダ」という怪しい緑色の瓶に入ったジュースを飲むのだ。いまでこそその駄菓子屋はなくなってしまったが、その時の記憶がハモニカ横町に足を向けさせる一因なのかもしれない。 ハモニカ横町で、プラモデルを衝動買いしてしまった。正確に言うと、プラスチックがまだ高価な時代のものだから「木製モデル」であるが。そんな昭和30年代のキットが売っていること自体奇跡である。名前は「水上ボート カリフォルニア号」と「大陸間弾道弾ミサイル アトラス」。後者は北朝鮮の弾道弾ミサイルが脅威となっている今となっては少々現実味がありすぎて怖い。でも当時は高度成長がまさに始まろうとしている時代で、このモデルも夢を持って作られたのだろう。「遠心力で飛ぶ!物凄い速さで飛ぶ特種装置付き」だそうだ。開けてみて旧漢字だらけの説明書きを読むと、なんのことはない、ヒモで吊るしてぐるぐる回るだけの代物のようだ。う〜ん、キッチュだ。でもこういうの大好き。 中央線沿線はクセがある。よって、その街に住む人間も、中央線利用者もクセがある。全体的にキッチュでチープ。A級よりB級。四畳半の風呂無しボロアパートが似合うような。そのぬるさに甘えてしまうと人はなかなか抜けだせないんだそうな。「東京人〜中央線の魔力」にそう書かれいた。そんな東京の底なし沼・中央線沿線はやっぱり面白い。俺はその沼にすでにはまってしまったんだろうか。 いや、待てよ。普段使わないからすっかり忘れていたが、うちの近くに中央線走ってるじゃないか。豊田駅までチャリですぐじゃんか。なんだ、俺ってもうすでに中央線人なんじゃん。なーんだ。思えば俺の部屋もなんだかおかしなインテリアだよな。絶対こんな部屋、白金台にはない。それに変なモンばっか集めてるしな。中央線沿線に住むべくして生まれたんじゃないだろーか。
なんだかいいな、中央線人て。そんなことを帰りの井之頭線の中で考えていた。あれ?なんだか矛盾してるぞ。
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