つれづれ気まぐれ乳がん体験日記
進行がんと共に生きる研修講師が綴る日々の気付き
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2009/04/16(木) 祝、半世紀後の私
“やなぎみわ”という女性アーティストのことをテレビで知った。
少し前のNHK教育「新日曜美術館」で。

不思議な写真群、そしてその撮り方にテレビの前で釘づけになった。

おもに10代から20代の一般公募の女性と
じっくり対話し、彼女らを特殊メイクで50年後の老婆にして
写真にした「マイ・グランド・マザーズ」展。
http://www.syabi.com/details/yanagi.html

テレビで紹介されたその写真は細部にまでこだわったものだった。
彼女とモデルが描き出す50年後の未来は
かつてみたことがない世界。

私の頭はそのことでここ数日いっぱいになりだしたので、
一昨日の14日は仕事の合間に恵比寿の写真美術館に走った。

圧巻。。。。。
アンチエイジングなんて、くそくらえ〜。
美容も化粧も関係ね〜。
50年後、私もあなたもこの世にいるのだろうか?
観ていると写真の中の老婆が乗り移ってくるようで、
奔放にそしてドスを利かせて
訊ねてみたい気持ちになってくる。

彼女はときに一年もかけてモデルと対話をするという。
その作品はたとえば
70歳を過ぎてロスに移住し
BFとハーレーで移動するオババとか、
漫画オタクの最期に立ち会いに来た
看取り屋という職業の老女とか、
法眼を手にし書画と雨後の山を好む
眼光婆婆と名乗るおばあさんとか。

壁面いっぱいに引き伸ばされた写真には
凝りに凝った化粧や衣装、調度品があふれ、
平凡であるはずの私の想像力が
勝手に動き出すほどの圧倒的な独自性と存在感があった。

外は久しぶりの雨の東京、どんより嵐の気配。
平日の昼下がりの展示会はほとんど人がいなくて、
過激さと楽しさの前で呆然として過ごした。

作品の中の老女らは時に底抜けに明るく、
時に底なしにアンニュイ。
どのたたずまいも暗闇を抱えているが、それは潔い暗闇。
そして人はきっと誰でも本当はそうなのだろう。

「生きててよかった」なんて、
通俗的な表現を吹き飛ばしてしまうこの作品群。
そしてそれをもひっくるめて、
生きていくことは「強い意志なのだ」という
深い手ごたえが湧いてくるすごい写真展だった。

よく考えたら写真展というものに生まれて初めて行った。
そして写真集もけちんぼな私にしては珍しく買ってしまった。
だから一昨日は久々に雨の東京。

私も雨女でなく雨婆婆になっていく日が、
この毎日の延長線上につながっているのだ。

画像は写真展のパンフレットから。

特に感銘を受けたのは
次の肉体を自らの手で作りだそうと
前世と来世の間で思案している老女。
片胸がない現世の自分とダブってしまい、長時間見入ってしまった。


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