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2008/07/30(水)
『#43 ASIA 〜 中国』
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『炎の台詞』 7/29 カシュガル
長期旅行者が中国に戻る楽しみといえば、何といっても「中華料理」で。 豪快な炎と中華鍋を振る見事な手さばき、 雑に盛られた皿から立ち昇る湯気、 久しぶりの箸を使って食う中華は何よりも美味い。 「中華、うっめー」 中華は旅行者を裏切らない。 いつだってそっと優しく包み込んでくれる。 だからその夜の僕は油で照った北京ダックをそっと皮に包み込む。 そして一気にかぶりつく。 じゅわっと口中に油が広がる。 「中華、うっめー」 生まれて初めて食べる「北京ダック」は至福の味がした。 もう涙がこぼれそうだよ。 「やっぱ、中華っすねー!」 「やっぱ、中華っすねー!」 宿で出会った長期旅行者と馬鹿の一つ覚えみたいにこの台詞だけを繰り返す。 「やっぱ、中華っすねー!」 これはもう今書いている脚本にこの台詞を入れなければとさえ思う。 「やっぱ中華っすねー」 もし来年にでもやる舞台を観に来てくれた人は耳を凝らしてみてほしい。 どっかに突然この台詞が入るかもしれない。
あの夜あの男があの場所で、血で滴るナイフをかざして言ったんだ!やっぱ中華っすねーって。
どうでもいいや。
明日、僕はパキスタンに向かう。
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