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2008/07/14(月)
『#28 ASIA 〜ウズベキスタン』
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『東への交渉』 7/14ヒヴァ
「15000ソム(≒1500円)だ!」 「いや、5000ソムだ!」 「いや、15000ソムだ」 「いや、インフォメーションのお姉さんが5000だと言ってたんだ!なんでそんなに高いんだ、5000だ!」 「だめだ、15000だ!」
今回の旅行はヒヴァを最西端にすることに決めた。 ここを西にあとは5ヶ月かけて上海、東京に戻っていく。 ということで今日は東へ向かう第一歩目なんで。 次の町は「ブハラ」。 そして今は「ヒヴァ発ブハラ行」のバス停で運転手ともめている。 「じゃあいいよ、6000だすよ!」 「じゃあ13000だ!」 「いや、いって8000!」 「じゃあ18000!」 「だから、なぜ上がる!」
もう1時間ばかりこんなことを繰り返している。 「…ああ、もう!」 頭がヒートアップするたびに日陰で休む。 交渉は熱くなり過ぎちゃいけない。 クールに、クレバーに。 それにしてもこの運転手、「ヒヴァ発ブハラ行」が一日一本しかないのをいいことになかなか交渉に応じようとしない。 何か良い方法はないか。 頭を巡らすも、何も浮かばない。 だったら当たって砕けるしか道はない。 バス出発まで時間はもう1時間を切っている。 気合とニコチンを入れなおすと、再び交渉に向かう。 今度は下手ででてみよう。 「…分かったよ、10000払うからさ」 「いやだめだ!お前はもうだめだ!」 「だからなんで!10000なんだからいいだろ!」 「いやだめだ!もう席は埋まった」 「…え?」 「席は埋まった」 「…1、12000出すよ!」 「席は埋まった」 「13000?」 「席は埋まった」 「……」
バックパックを背負いなおして僕はまた来た道をとぼとぼと戻る。 宿のおじさんが不思議そうに僕に近づく。 「どうした?」 「ハハハ、フルだったよ、…もう一泊させてください」
帰国するにはまだ早い。 まだ東には向かえない。
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