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2008/06/27(金)
『#12 ASIA 〜キルギス』
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6/26 『旅ときどき芝居』
ビシュケクには『日本センター』というのがあるんで。
日本(ヤポン)とキルギスの交流の証、 館内の壁にはキルギス人が書いた書道や折り紙が貼られ、棚には日本の小説や漫画、雑誌からDVDが並べられている。 「キルギスなんて国、聞いたこともなかったのに」 僕の知らないところで僕の生まれ育った日本とたくさんの知らない国は交流している。 面白い。 今まで知らなかった土地でも知らない人たちは知らない生活を送ってる。 面白い。
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「あ、あ、あったよ…」 日本センターを探していた。 炎天下に頭をやられ、諦めかけた帰り道に小さな日の丸国旗を見つけた。 立派な建物だと思っていたが、予想に反して「日本センター」は古びたアパートの一室のようなところにあった。 これじゃ見つからない。 「早く、早く中へ」 今は小説なんかより涼しい部屋を求めてる。 ギイィと扉を開け、まず無料の冷えた水を飲み干すと、本棚を物色し始めた。
みんな、長く旅を続けるとどうしても日本食と日本の活字が恋しくなる。 もしかしたら何もすることがなくなった旅人さんにとってここはパラダイスかも知れない。 いくらでも時間が潰せる。 でも僕はまだ1ヶ月弱と短いので、なんのことはない。 好奇心もまだ磨耗していないし、日本から持ち込んだ味噌汁も醤油もまだまだなくならない。 ただ、日本センターには「ガラスの仮面」という漫画が置いてあった。 古ぼけた印刷で「ガラスの仮面」の帯が何十巻と続いている。 続きものの漫画に手を出してはいけない。 閉館までもう1時間もないんだから。 そう思いながらも僕の手は1巻に伸びている。 「…えぃ!」 ぺらぺらと流し読む。 「おお、これが噂に聞くお芝居の話の少女漫画か…」 ぺらぺらと2巻も流し読む。 「…ぉぉ…おお…おおお」 続いて3巻、4巻、5巻。 うん。 面白くない。 大して面白くない。 でも。そろそろ何かやりたくなってきた。 そろそろ面白いことを考え始めようかと思う。 そう思うよ。
6/27 『目的を聞かれたら困るけれど』
朝9時。 タジキスタン大使館を訪れる。 預けていたパスポートを受け取り開いてみると、そこには「タジキスタンビザ」が貼られている。 それを眺めて、にやりと笑う。 『これでタジクに行ける』 でもこの国についてはまだ何一つ分かっていない。 何しに行くのやら。
朝10時。 タジキスタン大使館に行った足で、今度はカザフスタン大使館を訪れる。 パスポートに証明写真、前に受け取っていた書類と大使館への申請願いの手紙を渡すと、ガラス越しの領事が言う。 「THUESDAY PM6」 僕はノートを取り出しすぐに書き取る。 木曜、6時。 『よし、これでカザフスタンに行ける』 ただ、この国についてもまだ何一つ分かっていない。
目的はなんにせよ、「スタン系一周の旅」の準備は木曜にはすべて整う。 それまでの6日間はどうしよう。 まずは簡単なトレッキングにでも行ってみようと思うよ。
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